雑話273「失われたダ・ヴィンチ作品、発見される」
長い間、行方不明になっていたダ・ヴィンチの作品とされる絵画が発見されました。
レオナルド・ダ・ヴィンチ(?)「イザベラ・デステの肖像」
発見されたのは、ルガーノというスイスの都市の銀行の金庫の中でした。
スイス当局がイタリア政府の依頼を受けて、違法に国外に持ち出されたこの作品を押収したのでした。
今回、発見された作品は、マントヴァ皇妃、イザベラ・デステを描いたもので、その価値は1億2千万ユーロから1億5千万ユーロだといわれています。※162億円~202億円
この肖像画は多くの美術史家の間では伝説となっており、彼らの中にはその存在すら疑うものもありました。
現在、ダ・ヴィンチの真作だと世界的に認められている作品は23点ありますが、この作品がダ・ヴィンチの作品であると認められれば、美術史界にとって大変な衝撃となるでしょう。
この油彩の作品は、1499年にダ・ヴィンチが描いた皇妃の鉛筆デッサンの最終版だと考えられています。
レオナルド・ダ・ヴィンチ「イザベラ・デステの肖像」1499年
皇妃を描いたデッサンは現在、パリのルーヴル美術館に収蔵されています。
これら2点の肖像画は驚くほど似ており、モナ・リザと多くの共通点のある優しく謎めいた微笑みが見られます。
さて、モデルのマントヴァ皇妃はルネサンス期イタリアの文芸・政治を代表する女性の1人です。
ダ・ヴィンチが彼女を描いたデッサンを見て、マントヴァ皇妃はその油彩版を制作するように画家に依頼したといわれています。
しかし、何世紀もの間、美術史家の間では、ダ・ヴィンチがモナ・リザを含む他の作品の制作で忙しかったため、その依頼を実現できなかったと信じられてきました。
実際、この作品をダ・ヴィンチの作とすることに異論を唱える研究者もいます。
その理由のひとつは、マントヴァ皇妃の肖像画が、ダ・ヴィンチが決して使わなかったキャンバスに描かれていることです。
トスカーナ州のヴィンチにあるレオナルド・ダ・ヴィンチ博物館のアレサンドロ・ヴィゾッシ館長は、ダ・ヴィンチがこの作品に何らかの形でかかわった可能性は否定しませんでしたが、作品の大部分は彼の弟子によって完成されたのではないかと述べています。

