雑話267「モネの名画 2月のオークションに登場」 | 絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

雑話267「モネの名画 2月のオークションに登場」

来たる2月3日から、世界的な印象派のオークションがロンドンで開催されます。


この週の最大の注目作品は、モネがベニスの運河を描いた傑作「カナル・グランデ」です。


クロード・モネ「カナル・グランデ」1908年

この作品は、ベニスを描いた作品の中で最も重要なものの一つといわれており、2006年から昨年までロンドンのナショナルギャラリーに貸出されていました。


「カナル・グランデ」につけられた落札予想価格は2千万ポンド~3千万ポンド、およそ36億円から54億円という高額なものです。


これだけ高額にも関わらず、サザビーズと外部の第3者は落札予想価格の保証をしています。


この保証は「取り消しできない入札」といわれ、サザビーズの外部のものがリスクを引き受ける代わりに、高額で落札された場合に報酬の一部を受け取るというものです。


さて、この作品はモネが1908年にベニスに3カ月滞在したときに描かれました。この年はモネの画業のピークだといわれています。


ベニスのサン・マルコ広場でのモネ夫妻 1908年10月

サザビーズによると、パリに戻った数日後の1908年12月19日、モネは取引のあったベルネーム=ジュヌ画廊にベニスを描いた37作品のうち、28点を渡しましたが、この作品は最後の仕上げをするためにスタジオに留められました。


3年後の1911年、モネは作品の展示を承諾し、翌夏に「クロード・モネ・ベニス」と題された展覧会が開催されました。


クロード・モネ「カナル・グランデ」1908年

※こちらは同シリーズのボストン美術館収蔵作品です

その翌年に「カナル・グランデ」は、ニューオリンズで砂糖を扱う大実業家であったハント・ヘンダーソンに購入されました。


ヘンダーソンは20世紀初頭のアメリカ南部では、最も重要なコレクターの1人と考えられていました。


サザビーズの印象派・モダンアート部門の共同代表であるヘレナ・ニューマンは、モネの作品に対する需要は史上最も高まっており、10年前と比べて4倍も多い国々から入札者が現われていると語っています。


落札価格の保証までして獲得したモネの傑作ですが、サザビーズと外部の第3者は思惑通りの結果を手にすることができるでしょうか?この結果はまだ来月お届けしたいと思います。