雑話265「もう一つのモナ・リザ」 | 絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

雑話265「もう一つのモナ・リザ」

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。


今年最初のブログでは、世界で最も知られた絵画であるダ・ヴィンチのモナ・リザの、別のヴァージョンだといわれる作品をご紹介しましょう。


その絵画には、若い頃のモナ・リザが違った背景とともに描かれているとされていますが、作品は未完成の状態です。


レオナルド・ダ・ヴィンチ?「モナ・リザ」1503年

ルネサンスの巨匠の手によるものだとする所有者によると、この作品はルーヴル美術館のものより10年前に描かれたと思われ、制作年を1503年とする化学的な分析を受けたと主張しています。


現在、この若いモナ・リザを描いたとされる作品は、シンガポールの旧国会議事堂を改装して芸術の展示場として蘇った「アートハウス」にて初めて一般公開されています。


この未完の作品ついては次のような話が述べられています。


1778年にイタリアを訪れていたイギリス貴族が購入しました。


その後、1913年にイギリス南西部のサマセットでイギリス人コレクターに再発見され、ロンドンのスタジオで修復された後に、アイズルワース(ロンドン西部)のモナ・リザとして知られるようになりました。


レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」1503-6年

2008年より国際的なコンソーシアムが所有するこの絵画は、シンガポールの後、香港、中国、韓国、オーストラリアを巡回することになっています。


この新しく発見された作品の擁護者の1人は、この作品を管理し、2012年に作品の真贋の立証をし始めたスイスのモナ・リザ財団です。


この財団の副理事長は作品の真贋について次のように述べています。


”最新の発見と、終えたばかりの新しい科学的な分析によって、ダ・ヴィンチの作品ではないという疑いはすっかり晴れた。


専門家のほとんどは我々に同意するか、我々の主張を信ずるに値する十分な論拠があることを認めている”。


もちろん、このモナ・リザも数多く存在する偽物の一つに過ぎないかもしれません。


ダ・ヴィンチのの専門家の1人は彼の懐疑について次のように述べています。


”シンガポールで公開されているが、主要な美術館や画廊には受け入れられていないこと自体が全てを物語っている。


この作品の風景や布地の描写は、ダ・ヴィンチのものにしては活気がない。”


さて、結論が出るとしてもまだまだ先のようですが、もしこれが本物のダ・ヴィンチの作品と認められたなら、所有者は莫大な財産を手にすることになるのでしょうね!