雑話250「子犬の作品 3選」
今週は、子犬をモチーフにした芸術作品のなかから、面白そうなものを3つ選んでみました。
まず、一つ目はジェフ・クーンズの代表的な作品である「子犬」という彫刻です。
ジェフ・クーンズ「子犬」1992年
カラフルな花々で作られた「子犬」の前には、よく見ると小さな人影が映っています。
一瞬目を疑うほどの大きさですが、これはCGではありません。
高さが約13.1メートルもあるこの巨大なウェスト・ハイランド・ホワイト・テリアは、内部に灌水システムを装備しています。
「子犬」の下にいる観光客
「子犬」は単に子犬や花といった、ほとんど万国共通でアピールできる要素を持っているだけではありません。
この巨大な彫刻は18世紀の本格的な庭園のトピアリー(樹木や低木を刈り込んで作った造形物)や犬の繁殖、土で作った置物に植物を生やして楽しむChia Pet を同時に思い起こさせるなど、様々なレベルでの解釈が可能です。
Chia Pet の一例
ドイツのバート・アーロルゼンで1992年に初めて登場して以来、この大きな「子犬」はニューヨークのロックフェラーセンターや、シドニーの現代美術館に現われています。
上図のバージョンは、ビルバオ・グッケンハイム美術館の入口で半永久的に門番をしているものです。
次にご紹介するのはバンクシーという芸術家のユーモラスな作品です。
バンクシー「君なしではいられない」2013年
バンクシーはイギリスを拠点に匿名で活躍するストリートアーティストです。
このミステリアスな芸術家が、去年10月にニューヨークで一月ほど滞在したときは、ちょっとした話題になりました。
You complete me 直訳すると「君が僕を完全にする」→「君なしではいられない」
バンクシーがビッグアップルに残した作品のひとつは、このちょっと悪趣味で小さな作品です。
通りの壁に描かれた作品は、消火栓は犬がおしっこをかけるためのものであると暗示しています。
6番街と24番通りの壁に描かれています
最後にご紹介するのは、チンを描いたオーソドックスな作品です。
この絵の作者は印象派の兄貴分ともいえるエドゥアール・マネなのですが、作品自体は平凡なものに見えます。
エドゥアール・マネ「タマ、日本の犬」1875年頃
今回取り上げたのは、マネの作品だからというよりも、その題名のせいです。この絵のタイトルは「タマ、日本の犬」となっているのです。
マネが自分の愛犬に「タマ」という日本のペットの名をつけたのかと思いきや、この犬の飼い主は東洋美術のコレクターであったアンリ・チェルヌスキでした。
彼の東洋美術のコレクションは現在パリ市立アジア芸術美術館となって残っており、東洋美術の宝庫として知られています。
日本人形の前に立っている日本原産種のチンは、このチェルヌスキによってフランスに持ち込まれたそうです。
さらに、チェルヌスキはマネだけではなく、ルノワールにもこのタマの絵を依頼しています。






