雑話248「イタリアの選択 ギリシャ彫刻の危機?」 | 絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

雑話248「イタリアの選択 ギリシャ彫刻の危機?」

世界的に有名な、ギリシャ時代のブロンズ像「リアーチェの戦士」が重大な危機に瀕しています。


「リアーチェのブロンズ像」or 「リアーチェの戦士」BC460-420年

イタリアでは、この2体のブロンズ像を現在の保管場所があるカラブリア州より1000km以上北にあるミラノに、6か月間貸出する計画が持ち上がっています。


しかし、多くの専門家たちは、どんなに短い距離の移動であっても、2500年近く前の彫刻の破壊につながる危険性があると考えています。


実物大のギリシャ戦士を表した2体の彫刻は、「リアーチェのブロンズ像」もしくは「リアーチェの戦士」として知られており、紀元前460年-420年の間に作られたものです。


現在保管されている国立マグナ・グラエキア博物館では、空調設備が整った部屋のなかで、地震等で起こされるどんな動きをも最小限にする台座の上に立っています。




今回の計画では、2015年に万国博覧会が開催されるミラノで、この2体をイタリア館か、この2体のために特別に作られるパビリオンで大々的に展示する予定です。


「リアーチェの戦士」の貸し出しの見返りとして、この彫像関連のチケットの売上の3分の1が、カラブリア州に支払われることになっています。


その額は500万ユーロ(約7億円)ともいわれ、南イタリアが恒常的に抱える莫大な財政赤字を考えれば、決して見過ごすことのできない提案です。


イタリアの文化大臣であるダリオ・フランチェスキーニ氏は独立した専門家の研究チームに、移動の可否を判断するよう要請したと伝えられています。


移動に反対する専門家たちは、そのような独立した研究班の存在自体が、政府がすでにブロンズ像の移動を決定していることを意味しており、単に国民の了承を得ようとしているだけではないかと心配しています。


イタリア政府は世界的な文化遺産の損傷につながるリスクを冒してでも、財政上の問題を優先するのでしょうか?