雑話239「モディリアーニの最後の言葉」 | 絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

雑話239「モディリアーニの最後の言葉」

モディリアーニといえば、才能があったにもかかわらず、絵が売れず貧困のなかで、酒と麻薬に溺れ、持病の肺結核のために若くして亡くなった悲劇の天才画家として有名です。


アメデオ・モディリアーニ

※「モンパルナスの貴公子」と呼ばれ、数々の女性と浮名を流しました

モディリアーニが亡くなる原因となったのは、亡くなる数日前の雨降る夜に、一晩中外にいたことによって、病状が一気に悪化したことでしょう。


この頃のモディリアーニは、自分が重い病気であることを知りながら、自分をいたわることを拒み、やけになって飲みながらカフェからカフェへとさまよっていたようです。


問題の夜も、彼は雨の中を歩き回ったあげく、教会の石段のところで気を失って倒れていたそうです。


数日後、画家仲間のキスリングとオルティッツ・デ・サラーテが訪ねていくと、凍り付くように寒いアトリエのなかで、瀕死の状態で横たわるモディリアーニと、その傍らに腰かける妊娠9ヵ月妻ジャンヌを発見しました。


モディリアーニのアトリエ

アトリエにはいくつもの空のワインの瓶と空いたサーディンの缶が散らばっていました。


言い伝えによると、モディリアーニが息をひきとる時、彼は妻に墓までついてきてくれるように頼んで、こう言ったそうです。


そうすれば、僕は天国で好きなモデルを持つことができ、一緒に永遠の幸福を楽しむことができるだろうから。


赤味がかった亜麻色の髪、優美な細い首、華奢な体つきの妻ジャンヌはモディリアーニにとって理想的なモデルでした。


モディリアーニの妻、ジャンヌ・エビュテルヌ

モディリアーニは、ジャンヌに出会ってから亡くなるまでの3年間で、30点もの彼女の肖像画を描きました。


下の肖像画はジャンヌを描いた最後の一枚です。


アメデオ・モディリアーニ「赤いショールを着たジャンヌ・エビュテルヌ」1919年

優美な曲線で描かれたフォルム、瞳のない目は、典型的なモディリアーニ様式です。


瞳のない肖像は、永遠性を感じさせ、顔だけでなく絵全体のフォルムを強調する効果をあげています。


モディリアーニの死の2日後、ジャンヌは自宅の5階の窓から投身自殺をしてしまいます。


ジャンヌはモディリアーニの言葉に従ったのでしょうか?


それは誰にも判りませんが、生前決して幸福だったとはいえない二人が、天国では一緒に永遠の幸福を楽しんでいるといいですね。