雑話207「プーシキン美術館展①」 | 絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

雑話207「プーシキン美術館展①」

現在、神戸市立博物館で開催中の「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」に行ってきました。


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この展覧会では、鑑賞者は同館の世界屈指のプランス絵画のコレクションを通して、17世紀から20世紀までのフランス美術300年の歴史を辿ります。


それでは、早速注目作品を見ていきましょう。


第1章「17-18世紀 古典主義、ロココ」からは、17世紀フランス古典主義最大の画家、ニコラ・プッサンの「アモリびとを打ち破るヨシュア」をご紹介しましょう。


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ニコラ・プッサン「アモリびとを打ち破るヨシュア」1624-25年頃

主題は「旧約聖書」の中の物語で、モーセの後継者ヨシュアが約束の地カナンを征服する場面を描いています。


この作品は、現存するプサンの最初期のうちの一点で、まだ独自のスタイルを確立するには至っていません。


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「アモリびとを打ち破るヨシュア」(部分)

それでも、筋骨隆々とした両軍の兵士たちが折り重なるようにして死闘を繰り広げるさまが、三角形を基調とした構図の中で見事に描き出されています。


第2章「19世紀前半-新古典主義、ロマン主義、自然主義」からは、ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングルの「聖杯の前の聖母」をご紹介しましょう。


アングルは、色彩よりも線描を重んじ、また無駄を切り捨てる厳格な新古典主義を代表する画家です。


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「聖杯の前の聖母」のアップ

※明確な輪郭線や、微妙な陰影のグラデーションに、アングルの手腕がいかんなく発揮されていますね!

厳粛かつ端正に描かれている聖母マリアは、上半身をやや斜めに構え、胸の前で両手を合わせて、聖杯の上の聖餅へと視線を向けています。


聖母マリア、テーブルに置かれた黄金の聖杯、そこに載せられた聖餅が中央に配され、聖杯の左右に置かれた燭台とともに、美しい三角形の構図を形成しています。


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ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル「聖杯の前の聖母」1841年

正面性と左右の対称性が顕著な画面構成は、厳格な聖性を際立たせるのに効果的です。


アングルほどビッグネームではありませんが、ウジェーヌ・フロマンタンの「ナイルの渡し舟を待ちながら」も印象深い作品です。


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ウジェーヌ・フロマンタン「ナイルの渡し舟を待ちながら」1872年

これは、異国情緒溢れる作品で知られるフロマンタンが、2か月間に及ぶエジプト訪問の際に描かれたものです。


画面には、ラクダに乗った旅行者と随行者たちがナイルの岸辺で渡し舟を待っている様子が描かれています。


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「ナイルの渡し舟を待ちながら」の旅行者たち

※彼らの視線の先には何があるのでしょうか?

彼らは三角形の構図を形成し、そのシルエットはまるで彫像のようです。


空に浮かんだ夕日は川の中へ沈みつつある夕日の描写に変えられ、そのため、静止した空漠な景色にゆったりとした時間の流れと自然の生彩な表情が加味されています。


<<次週「プーシキン美術館展②」に続く>>