雑話177「オークション注目作品① セザンヌの”リンゴ”」 | 絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

雑話177「オークション注目作品① セザンヌの”リンゴ”」

いよいよ誰もがお待ちかねのゴールデンウイークになりました。この時期は、またニューヨークの春のオークションのシーズンでもあります。


そこで、今週から2週にわたり、オークションの注目作品をご紹介します。まず最初は、サザビーズで最も高額な落札予想価格をつけたセザンヌの「リンゴ」を描いた作品です。


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ポール・セザンヌ「リンゴ」1889-90年

縦が38.5cm、横が46cmという小さめの絵画につけられた落札予想価格は、2,500万ドルから3,500万ドル、日本円にしてなんと25億円から35億円という高額なものです。

1ドル100円で計算


彼の多くの傑作の中でも、セザンヌの静物画は、20世紀初頭の美術様式の発展を促した彼の革新を、最も明瞭に証明した作品として、長い間認知されてきました。


彼のヴィジョンは静物画の伝統に新しい息吹を吹き込み、彼の偉業は後につづく世代の芸術家に重大なインパクトを与えました。


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パブロ・ピカソ「テーブルの上のパンと果物皿」1908-09年

ピカソは「セザンヌは我々すべての父親のようなものだ」と明言しましたが、この言葉は今日においても真実であり、21世紀の芸術家たちに影響を及ぼし続けています。


1889年から90年の間に描かれたこの「リンゴ」は、セザンヌが芸術的に達成した境地を要約しており、彼の最高の作品を特徴づける”明るさ”と”簡素さ”が見られます。


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「リンゴ」(部分)

この衝撃的なほど近代的な構図は、セザンヌの誰にも真似できない絵具を扱う腕前と、静物画に様々な繊細さや肖像画の感情的な効果を与える能力を際立たせています。


セザンヌは1880年代に中サイズの静物画の力強い連作を描きました。この時期の果物の描写は、対象本来の形状に集中しており、2次元の画面に3次元の形体を表現する空間的な問題に取り組んでいます。


その一つである本作では、単純で簡素な平面に、数個のリンゴが皿の上でピラミッドのような形に並べられ、その形は隣の果物にも繰り返されています。


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「リンゴ」(右側の部分)

画面の右端に一部分だけが見えている2つのリンゴは、視界から消えていこうとしているかようですが、セザンヌの革新的なフレーミングを強調しています。


ダイナミックな構図はリンゴや皿の丸い形と、背景やテーブルのはっきりした水平線との間のコントラストによって達成されています。


その後、セザンヌの静物画シリーズはますます複雑になっていき、下の「リンゴの籠」のような名高い作品の中でその頂点に達するのです。


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ポール・セザンヌ「リンゴの籠」1890-94年

この作品を含むサザビーズのナイトセールは、ニューヨーク時間の5月7日19時から始まります。高額に落札された場合は日本のメディアでも報道されるかもしれませんね。


これらのオークションの結果は、ゴールデンウイーク明けにご報告いたします。お楽しみに。