雑話125「オークションの目玉②・・・『叫び』」
先週に引き続き、春のオークションの注目作品をご紹介いたします。
サザビーズに出品予定のこの作品は、ダ・ヴィンチの「モナリザ」とならび、世界で最も知られているとされているムンクの「叫び」です。
エドヴァルド・ムンク「叫び」1985年
※今回出品のパステルのバージョン
この「叫び」も先週のセザンヌの「カード遊びをする人たち」と同様、同じタイトルの作品が複数あるのですが、もっとも有名なテンペラとクレヨンで描かれたメインバージョンのほかに、3つのバージョンがあります。
そのうち、今回出品されるのはパステルで描かれた作品で、3点の中ではメインの作品に最も近いものとされています。
エドヴァルド・ムンク「叫び」1893年
※「叫び」のメインバージョン、知らない人はいないほど有名な作品
この作品も一連の「叫び」の作品の中で、唯一売りに出される可能性があった個人所有のもので、他の作品はすべてノルウェイの美術館に所蔵されています。
メインバージョンではないとはいえ、世界で最も有名な絵画の一つを所有できるとなれば、絵画コレクターならずとも興味をそそられることでしょう。
さて、気になる落札価格ですが、サザビーズは少なくとも8000万USドル、現在の為替レートで約64億8000万円にはなるだろうと予想しています。
もしそうなれば、この作品はムンクの作品としては史上最も高額な作品となるだけでなく、最も高額なパステル作品になると思われます。
注目のオークションはゴールデン・ウィークの真っ只中である5月2日にニューヨークで開催予定です。
余談ですが、この絵画が4月27日放送の日本テレビの情報番組「ZIP!」の「COMING SOON!」というコーナーでも取り上げられました。
翌週の出来事を予想するという企画ですが、今回は2008年に8050万ドルで落札されたモネの睡蓮よりも高額で落札されると予想しています。
根拠としては、モネの睡蓮は100点以上あり、ムンクの叫びは4点しかないことをあげていますが、比較対象としてはかなり無理があります。それでも、この予想が当たれば「叫び」の落札予想価格を上回ることになり、美術業界に明るい話題を提供することになるでしょう。


