雑話75「まだまだ熱い世界の美術市場」
ゴールデンウィークの真っ只中、この時期恒例の印象派オークションがニューヨークで開催されました。
長引く不況の上に、日本の震災及び原発事故が追い討ちをかけるように起こったため、美術市場にも悪影響がないか懸念されるところでしたが、ふたを開けてみるといらぬ心配だったようです。
今回のオークションの出品作の中で落札価格が2000万ドル(約16億円)を越えたものが4つありました。
$22,482,500(約18億円)で落札
最高額をつけたのは2つあり、一つはモネの「ポプラ」、もう一つはヴラマンクの「バンリューの風景」で、ヴラマンクの作品は彼の最高落札価格記録を更新しました。
$22,482,500(約18億円)で落札
次点をつけた作品も2つで、両方ともピカソの作品でした。それらは「アルジェの女、ヴァージョンL」と「本を読む女たち、2人の人物」です。
パブロ・ピカソ「本を読む女たち、2人の人物」1934年
$21,362,500(約17億円)で落札
パブロ・ピカソ「アルジェの女、ヴァージョンL」1955年
$21,362,500(約17億円)で落札
その他にもマクシミリアン・ルースの「パリのノートル・ダム」がやはり彼の最高落札価格の記録を更新するなど、評価の高い作品に対する需要は相変わらず衰えていないことが分かります。
$4,226,500(約3億4千万円)で落札
そうした高額で落札された絵画がある一方、最低落札希望価格に至らなかった絵画もあり、クリスティーズの出品作57点のうち、10点は不落札でした。
これは良い作品とそうでないものの評価がより明確になったことを意味し、同じ作家でも出来のいいものしか売れなくなっている証拠だと言えるでしょう。
■下のリンクはピカソの「アルジェの女、ヴァージョンL」が落札された時の模様が動画でご覧いただけます。
3分ほどの動画ですので、お時間がございましたら、是非オークション会場の雰囲気を味わってみて下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=SlwY2LKrNwU



