雑話35「ボストン美術館展」
京都市美術館で開かれている「ボストン美術館展」に行ってきました。
今回の企画では、16世紀から20世紀初頭までのヨーロッパの主要な作家の絵画の中から、肖像、宗教、日常生活、風景、静物など8つのテーマに沿った作品を選んで構成されています。
その中でも、注目すべきはボストン美術館が世界に誇るモネの作品群です。
今回、展示されているモネの作品は印象派の手法を見事に体現しているものが多く、その質の高さに驚かされます。
クロード・モネ「ヴァランジュヴィルの崖の漁師小屋」1882年
その画面を間近で見ると、様々な色の絵の具が幾重にも重ね塗りをされており、上に塗られた絵の具の隙間から僅かに見える下の層の色が、上の層の色と響きあって素晴らしい相乗効果を出しています。
これは、眼に嬉しい刺激を与える補色関係の色の組み合わせを上下の層に配置したり、下層の色が所々で見えるように、その筆遣いを絶妙に擦れさせたりする、モネの卓越した油絵の具の使い方のなせる業であり、モネは印象派の中でも特別な存在だと言わざるを得ないでしょう。
クロード・モネ「プールヴィル、ラ・カヴェの道」1882年
モネの展示室に入るとまず、右手の壁に「ヴァランジュヴィルの崖の漁師小屋」や「プールヴィル、ラ・カヴェの道」が展示されています。
それらを見ると、何度も重ね塗りをされた緑やピンク色などのさまざまな色が、擦れたストロークの間から見え隠れしていて、それによって表現された草原や山肌のキラキラと輝く様子が、南国リゾートを訪れた時に感じるような楽しい気持ちにさせてくれます。
次の展示室の奥には、「積み藁(日没)」の燃えるようなピンクの画面が正面に見えてきます。
クロード・モネ「積み藁(日没)」1891年
夕日に照らされて赤く輝く「積み藁」の様子は、ピンクや赤紫、青紫などが互いに透けて見えるように何度も重ねられ、静止しているはずの画面が本当に揺らいでいるように見える効果を生み出しています。
単なる積み藁のアップが描かれている単純な画面にも拘らず、どこか神聖な雰囲気が漂っていて、久しぶりに心の奥の何かが動かされるような思いをしました。
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち
2010年7月6日(火)~8月29日(日)
京都市美術館
開館時間:午前9時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日



