雑話29「画家とモデル」
印象派のメインテーマは「つかの間の時間」を表現する事だったため、彼らの選んだモチーフはどうしても風景画が多くなってしまいます。
そんな中で、ルノワールは人物、特に女性を描く事に喜びを感じ、その長い画業を通じて多くの女性や子供たちを描いています。
ピエール・オーギュスト・ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」1876年
今回はそんな彼とモデルたちのエピソードをご紹介しましょう。
ルノワールが有名な「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」を描いていた頃、彼はモンマルトルの街に良く出掛けました。
モンマルトルは今でこそ、観光の名所の一つで美しい風景で有名ですが、当時はまだ低所得の労働者や農民たちが住んでいる治安のよくない場所でした。
彼は舗装もろくにされてない路地を歩き回りながら、そこで出会った若い女工たちの中から気に入った女性に声を掛けるのです。
こう聞くと誰しもルノワールも相当女好きだったのかと思われるかもしれませんが、本人が言うには「モデルになって欲しいだけで、他には何の望みもなかった」そうです。
そこで、彼は変な勘違いを避けるために、女性の母親と交渉してモデルを確保すると、その後は母親の仲間たちが自分の娘をモデルにして欲しいと大勢申し出てきたので、必要なモデルが集まったそうです。

