雑話14「印象派と科学」
感性が大切な「芸術」と理性に基づいた「科学」とは相容れぬもののように思えますが、印象派の作品には科学的な理論が導入されていたと思われます。
その理論とは、フランスの化学者で、色彩学者でもあったウジェーヌ・シュヴルールが唱えた色彩理論で、「補色」に関するものです。
Wikipedeaには、「補色とは色相環(color circle)で正反対に位置する関係の色の組み合わせ。赤に対しての緑、黄に対しての紫、青に対しての橙など、相補的な色のことでもある」とあります。
シュヴルールの理論によると、「相補関係にある色同士を並べると、互いの色を引き立てあう」となっており、印象派の絵画にもその理論が応用されているのではないかと考えられています。
1例として、下のモネの絵画を見てみましょう。
有名な積みわらの連作の一つですが、積みわらの影の部分は黒や灰色ではなく、紫が使われています。この影の紫と、積みわらや雪に少し使われた黄色が補色関係にあり、こうして並べることで互いの色が人間の眼には活き活きとして見えるのです。
夢のように美しい印象派の絵画ですが、それは綺麗な色がふんだんに使われているだけでなく、美しく見せる仕掛けがしっかりとあったのですね。
