雑話9「作家の死後に値段が上がるのか?」 | 絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

雑話9「作家の死後に値段が上がるのか?」

よく、作家が亡くなると、その作家の作品の値段が上がるなんて言いますよね。

実際に、そうなのでしょうか?


おそらく、それはファン・ゴッホの話があまりにも有名だから、そういう風に言われているのだと思います。


現在、ゴッホの絵は高いので有名で、油彩の作品なら、まず数億円は下りません。歴代高額作品ランキングにも「ガシェ医師の肖像」が7500万ドルで第9位にランクインしています。


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ファン・ゴッホ「ガシェ医師の肖像」


しかし、ゴッホはまた生前に絵が1点しか売れなかった事でも有名で、それが絵というものは書いた本人が亡くならないと値段が上がらないという風な印象を強める事になったのではないかと思っています。


実際には、作家が亡くなっても、絵の値段が大きく変わるということはありません。


最近のケースでは、日本画の大家、平山郁夫画伯がお亡くなりましたが、絵の相場にはあまり影響がありませんでした。ただ、亡くなったタイミングで企画展を催す所が多く出て、一時的に取引が活発になったたため、多少その恩恵を受けて高く売れた作品があったとは思われます。しかし、あくまでも一時的な現象です。


しかし、大半の作家は亡くなったと同時に値段までなくなってしまうのではないでしょうか?


作家が亡くなる事で、作品の供給源が無くなる訳ですから、作品の希少性は高くなります。しかし、それはあくまでも市場性があるものの話で、作家本人やそのプロモーターの努力で流通経路に乗せているような作家の場合、その努力を止めてしまえば、その作品の市場もなくなり、値段もつかなくなるでしょう。


では、何故ゴッホの絵は彼の死後、これほど値段が上がったのでしょう?

詳しくは別の機会に書きたいと思いますが、簡単に言えば、世間の評価が彼の絵に追いついたのが、運悪く、彼の亡くなった後だったという事です。