雑話7「Art 市場は上がり調子?」 | 絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

雑話7「Art 市場は上がり調子?」

昨日、アルベルト・ジャコメッティのブロンズ像が95億円(1億422万ドル)で落札されたニュースが世界中を駆け巡りました


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アルベルト・ジャコメッティは印象派の作家より少し後の世代の芸術家(1901~1966)で、スイス出身ですが、やはりパリで活躍した彫刻家です。

彼はこの作品のように針金で出来たような細長い作品で有名です。


今回、落札された作品「歩いている男Ⅰ」はいろんな意味で記録を作りました。(※米ドルベースによる)


まず、オークションで落札された美術作品としては過去最高記録です。それまでのオークション記録はピカソの「パイプを持つ少年」が2004年に落札された1億410万ドルでした。


また、近代彫刻の価格としても最高記録で、それまでの記録は昨年2月にイブ・サン・ローランの個人コレクションが出品された際に、コンスタンティン・ブランクーシの「マダムL.R.」が付けた3770万ドルでしたから大幅なアップです。


それ以外にジャコメッティの作品の価格としても最高記録で、それまでの記録は2008年に「大きな立つ女Ⅱ」でつけた2748万ドルでしたから、作家の記録としても大幅なアップです。


もちろん、何の理由もなくこの作品がこれだけの値が付けられたのではありません。「歩いている男Ⅰ」はジャコメッティの最高傑作で、彼が有名になったスタイルを築く上において記念碑的な作品です。


また、ジャコメッティが存命中に鋳造された作品の中で、公的な美術館に所蔵されていない唯一のものでもあります。


しかし、どのような理由があるにしろ、このような世界的大不況の真っ只中で、前代未聞の100億円近いお金が一つの彫刻に支払われるとは、美術品の市場だけは次元が違うのかもしれませんね。