雑話6「印象派の目指していたもの①」 | 絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

雑話6「印象派の目指していたもの①」

「つかの間の時間」

これは何を描いたものか分かりますか?

何だか赤と白の線を横方向に書きなぐっただけのようですね。(下に続く↓)

絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話-オテル・デ・ロシュ=ノワール2

モネやシスレー、ピサロなどの風景画を見ると、筆の跡がはっきり判るくらい大胆な筆遣いが目立ちます。これが印象派の絵画は未完成だと批評された大きな理由の1つです。なぜ、彼らはそれまでの画家たちのようにはっきりと対象の輪郭や境界を描かなかったのでしょうか?


対象の印象を捉えるために、細部の描写を敢えて描かなかったと思ってらっしゃる方も多いと思いますが、もともと印象を描く事が印象派の狙いではありませんでした。

彼らが描きたかったのは、「つかの間の時間」なのです。

風になびく木の葉や流れる川のさざ波などは一瞬として同じ状態でいることはありません。印象派の画家たちはこれらを大胆な筆遣いで描く事で、移ろいやすい瞬間を捉えようとしたのです。


ですから、彼らの画題の多くに水面や木立が多く描かれているのです。


さて、先程の絵は下の絵画の一部でした。

こうしてみると、乱暴に描かれた線だけだったものが、ちゃんと風になびく国旗に見えてますよね。襞のある布として表現するより、この方が強風になびいてる感じが良く表現されていると思いませんか?


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