ハッピーさんラストスタンド!
ついにそのときはやってきた。
オリジンのラストで鉛の愛をやる予定が
ハッピーさんの調子がすこし悪くなったのがあり、一曲目にいきなり始めた記憶がある。
「みんな
きょうは愚鈍のハッピーさんがきてくれてるぜ!」
的なMCをした覚えがある。
そして車椅子に乗ったままザキや、元カサブタのナス、しゅうに連れられ
ハッピーさんが登場した。
会場が揺れた!
「ハッピーさん
なんかみんなに一言」
といったら
ハッピーさんは
「今日はよくきてくれました!」
ワシの
「歌えるとこまで歌ってね」
問いに
「あぁ、歌えるとこまで歌うよ」
ハッピーさんが声を振り絞って言ってくれた!
どっと歓声が湧き
鉛の愛は始まった。
ハッピーさんはあらん限りの声を出していたのだろう。
けれどあまり聞こえなかった。
でもそこでワシが歌うとなんもならんので
一番はとにかくハッピーさんソロで歌ってもらった。
二番からはお互いで。
そしてそのときわしがみた景色。
それは観客全員、そして出演者全員の視線がハッピーさんひとりに向けられている景色だった!
ワシの見たことのない景色がそこにあった。
みんなこの一瞬を見逃さぬように食い入りながら音にノッてる!
とても素晴らしい景色だった。
この景色をつくったハッピーさんにあらためて
リスペクトした!
ワシは、この景色をいつか見たいから売れない音楽をやり続けてるのかもしれない。
強くそうおもった!
ステージが終わり、ハッピーさんは山口へ帰っていった。ザキとしゅうに連れられて。
こうしてラストスタンドが終わり
to future gigも終了。
わしはオリジンの東名阪ツアーへと気持ちを切り替えていった。
そしてツアーが終わって程なくして
広島の豪雨災害が起こった!
わしは毎日のように支援に向かうなか
いけるときは山口へいき、ハッピーさんを見舞った。
ハッピーさんの容体はますます悪くなり
殆ど喋ることが出来なくなってた。
ザキから「もう会えるのも僅かじゃとおもうけん。いまのうちに話しときんさい」
と言われ二人きりにしてもらった。
そこでワシはいままでのことを謝った。
「いままで生意気ばかり言ってごめんね。
わしはハッピーさんが好きじゃったんよ。
でも腹もよう立ったんよ。でも、言い過ぎたよね。ごめんね。
藤井(自虐)がおった頃はたのしかったねぇ
なんでもあいつがやってくれたけん
ワシら楽しむのが仕事じゃったものね(笑)
あの頃が一番たのしかったねぇ」
そう言うとハッピーさんは
うん、うん
とすこし微笑んでくれた。
同行した愚鈍のドラム
アキトもハッピーさんと二人きりで
いっぱい話してた。
未だ何を話したかは聞いてない。
ワシは嬉しげにこう書いているけど
アキトはアキトのなかでそれは消化すればええと思うから。
もう幾日もないと思いいろんな仲間に連絡をした。
自虐も来てくれた。
そうさんもきてくれた。
他にもいろんな人が来てくれた。
そんななか
9月8日未明
ハッピーさんは
還らぬひととなった。
<続く>





