*好きな詩 一編 やぶりすぎたこの頃なれど つきつめてふりかへるともなく すごしてあれば心はいたましく ああ 古ぼけた緑の帽子を被り あさましく人のまねして 浮かれたサーカスの音楽をきいて 綱をわたったり 象にのったり 日がな一日くらしてはをれど もしあの毒のやうな空のてっぺんから 滑っておちてゆくわが身ならば やぶりすぎたこの頃なれど ちらりと粉雪の身にしみて ああ それかと泣くすべもないさうな その昔、同居人が詩集をいくつか持ち込みました。