野菜の成長には、太陽が欠かせないという事を、日頃の畑作業の中でいやというほど認識させられています。

太陽に偉大なる恩恵を感じています。

その太陽を活用して他に何か役にたつことが出来ないか? と考えてみました。

そして数年前 に「太陽熱湯沸かし器」なるものを作ってみました。直径1メートルの円盤状パラボラアンテナ似の

集熱器です。(写真1参照) 

 太陽光の集まる焦点に水を入れた金属容器を置いて湯を沸騰させるという簡単な原理の

湯沸かし器です。今も元気に稼働しています。

 

写真1 手製の直径1mの太陽熱湯沸かし器です。

 (一般にソーラークッカーと言う名前で呼ばれています。)

 

 

自動で太陽の方向を向いてくれるような気の利いた装置ではありませんので、20~30分ごとに水平方向(方位角)と垂直

方向(仰角) を太陽の方向に合わせて追っかける必要があります。

 

畑作業の休憩時間にこの湯沸かし器でお湯を沸かし、その沸きたてのお湯でコーヒを飲むと疲れが癒されます。

太陽熱で直接沸かしたお湯には、熱エネルギーの他に人体を元気づける何かを含んでいるような気がするんです。

太陽から送られてくる光線の中の何かが、体の中に潜んでいる“氣?”らしきものを呼び起こし、人体を

活性化させる働きをするのでしょうか?

市販のガスなどで沸かしたお湯にはない何かが体に共鳴を引き起こし体内の元気の素を呼び起こしてくれるような。

1リットルの水を約40分で沸騰させてくれます。快晴の時にしかお湯が沸かないという難点はありますが

、燃料費がかからず、環境を全く汚染しない“理想の調理用加熱機器”と言えるのではないでしょうか。 

災害時でも利用できます。

 

更にこの装置は、湯沸かし以外のこともやってくれます。さつま芋も蒸かしてくれます。

トーモロコシも卵も茹でてくれます。

写真2 沸騰状態の鍋 水面が揺れています。

 

写真3 さつま芋も柔らかく蒸かします。

 

写真4 卵を茹でる事も出来ます。

 

太陽エネルギーの偉大さ

 

太陽から地球に到達する総エネルギー量は、1時間で、20世紀後半の世界の1年間で消費される

エネルギーに匹敵するという途方もなく膨大なものだそうです。これをいろんなことに使わない手はないですよね。

地球に到達するエネルギーは、大きく分けると下図のようになっており、宇宙へ反射してしまう分30%以外の

即ち残り70%が地球へ来ている訳ですからこれを利用できたらいいな!!という訳です。既に太陽光発電や

風力発電など種々の方法で他のエネルギーに変換するなどで利用されていますが、これを更に有効活用

できないかと言う発想です。勿論野菜つくりに太陽エネルギーは充分活用されており、お蔭で野菜が

成長している訳ですが。

     

図1 地球へ来た太陽エネルギーの行方

 

 

ここでこの「太陽熱湯沸かし器」の手作りの経過を振り返ってみたいと思います。

 

原理は、簡単です。太陽から8分17秒もの時間をかけてはるばると地球へ来てくれた太陽光線

(正確には、光線だけでなく他の性質をもついろんな波長の電磁波ですが、電磁波では、分かり

難いのでここでは、以下「太陽光線」と表記します。)を一ヶ所に集めてそこへやかんを置いた

だけのものです。

  

 

(1) 反射面の構成 光を一点に集めるに放物線を利用。

まず、太陽光を一点に集めるためには、反射鏡を使う訳ですが、反射面を放物線で

構成すれば一点に集ります。

   図2

 反射板には、熱さ 0.2㎜のステンレス板を使用しました。当初暑さ0.3㎜のアルミ板で行ったところ、

裁断、貼り付けの作業の際、皺が発生して残ってしまいました。

   図3

 

太陽からの平行光線を反射板の当てて反射させ一点に集めるためには、放物線でその

反射面を構成する必要があります。

放物線は、上図のような基準線(B)とそれと直行する垂直直線(H)で構成される面において、

垂直直線(H)上に点F(0,a)を置き、基準線Bに平行に点(0,-a)を通る線 L:准線を引きます。

垂直線上にある焦点と呼ばれる点:F(0,a) からの直線と、準線Lの点(Q)から 垂直に立ち

上げてできる直線が交わる点を(P)としたとき、PFとPQの距離が等しくなる軌跡を結んだ

平面曲線です。

こうして算出されて描かれた曲線を中心線H を主軸として回転させてできる面が光を一点に

集める反射面となります。

y = 1/4a  x2 

 

(2)焦点の深さ 焦点の深さを、反射板の深さに対してどの位置に置くかによって

奥かによってどの容器と加熱物の重さを支えるに

 

  a) 反射鏡の深さDに対して焦点の距離aが小さい。容器を反射鏡の中に納めることが出

来ますので、反射鏡の固定深さと焦点(容器の固定深さ)を一致させることができます。

  図4

 

 b) 反射鏡の深さDと焦点の距離aが等しい。容器の固定位置と反射鏡の固定位置が分かれます。

    図5

 

 

 c) 反射鏡の深さDより焦点の距離aが大きい。容器を反射鏡の外に設置することになります。

 

     図6

 

d) 採用した深さ 装置を簡単にするために 上記a)~c)の中のa)を採用。

   容器の保持と反射鏡の保持を一直線上に配置しました。反射鏡が回転しない

   位置に焦点距離aが来るように設定しました。

     図7

 

 

(3) せっかく暖まったお湯が冷えないように。 これがこの装置のポイント!!

 鍋は、太陽熱で暖まりますが、外気へ放熱もします。更に風が吹くとその鍋は、急激に冷やされます。

特に冬場は、外気温が10℃以下にまで下がり、風も強く吹きますので、鍋の温度は上がりません。

  そこで暖まった鍋の熱を外へ逃がさないようにしなければなりません。鍋の温度を保持しなければなりません。 

そこで受熱部にちょっとした工夫を施しました。鍋の周囲を鍋より1~2cmほど大きいガラス容器で覆ったのです。

ガラス容器は、太陽光線を通過させます。ガラスを通過した光線は、黒い色の金属鍋に当たって熱に代わって

内部の水の温度を高めます。

鍋の温度は、どんどん高まりますが、その熱は空気の断熱層があるのでガラスの外へは飛び出せません。

外気温が低く、寒い北風の中でも断熱効果は、テキメンです。

 

      図8  空気断熱構造の鍋 

 

 

真冬の寒い北風の中でも外気温に関係なくお湯を沸かしてくれます。冬でも太陽光線は、

決して弱くはないです。

湯沸かし以外でもさつま芋や玉蜀黍を蒸かしてくれる多用途調理器として活躍してくれます。

 

インターネットで「ソーラークッカー」で検索するといろんな写真が続々出てきました、ソーラークッカーも

今更珍しいものではなかったのかと、やや残念に思いましたが、インターネットで紹介されている

ソーラークッカーは、パラボラ上の反射板の工夫されていますが、この冷えにくい受熱部について

記述されたものは、殆ど見受けられませんでした。

 

収納小屋 普段は小屋に収納しておき、使う時だけ引っ張り出す。

 

   図9

 

 

 

(4) 太陽から送られてくる波 我々は、日常太陽からの贈り物を主として「光と熱」でもっとも身近に

感じています。

送られてくるものは、それだけでしょうか?

太陽がいったいどんな活動をして何を発しているのか専門的なことは分からないが、分かり易い

解説から拾ってみましょう。

 

   図10

 

 

 

 

ⅰ) 太陽光発生のプロセス

a. 中心部で、水素の核融合が連続して起こって、そこでガンマ線(γ線)が発生する。

b. そのガンマ線は、余りにも高温であるため固定されることなく、電子や陽子と衝突し、直進を

妨げられ、ガスに吸収されて波長が長くなりエックス線となる。

 

c. ガスの吸収と放出を繰り返しながら、直進できるほどの外側部に到達したエックス線は、

波長が長くなり(周波数が小さくなり)可視光線や赤外線、紫外線となる。

 

d. 外側部に到達した可視光線、赤外線、紫外線は、太陽光線として放出される。

 

 

   ⅱ) 地球へ到達する太陽エネルギーの波長と大きさ

       図11

 

 

   ⅲ) 地球に降り注が太陽エネルギーの内訳

     (再掲 図1)

 

 

 ⅳ) 電磁波 太陽から放出されるものは、可視光線、赤外線、紫外線以外のものも含んでいるので、

電磁波と呼ばれる。その電磁波の次のようなもので構成される。

 

      図12

 

 ⅴ) 電磁波の飛び方

 

  図13

 

 

電磁波は、真空中でも飛んで行ける。

 

 ⅵ) こうして飛んできた電磁波が眼球に入ると光を感じさせる。電磁波の波長によっ

  て感じる色がきまる。

可視光線の波長は、760-830nm 

紫色 400-435nm 青色 435-480nm 黄色 580-595nm 赤色 610-750nm

つまり、どの波長の電磁波が目に入ったかによって、感じる色が変わるということ。

  図14

 

 

電磁波そのものに色が付いている訳でなく、眼球の網膜にどの波長の電磁波が届くかによって色が決まる。この神秘性に驚嘆です。

 

(5) 電磁波は、前述のように磁界と電界の「輪っぱ」が鎖状に繋がって進んで行くという考えてもよく分からないものですが、それ自体に特別の特性を有するものではなく、それに符合する物体に到達したとき思いもかけない大きな仕事をやってしまうという、何とも頼もしいものであります。

 「太陽光には、熱以外の人体に有益は働きをする特別なものがある」…と言うことを発表されている学者さんもおられるようです。 まだまだ人類が解明していない、発見していない 電磁波の素晴らしい効果に出合えるのを期待したいものです。