日本の近代演劇史における代表的女優。

1911年、当時としては、女性解放を描いてセンセーショナルだったイプセンの「人形の家」の主人公ノラを演じ、一躍有名女優となった。
しかし、写真や生き様を見る限りでは、女優としても女としても、とても魅力的とは思えない。

松井須磨子の周囲の評判は悪く、私生活においても芸術活動においても、まったく人望が無かったらしい。
そんな須磨子を認めてくれたのは、不倫相手の演出家・島村抱月だけだったのかもしれない。

だからと言って、「悪女」という魅惑ある言葉でも表すのも難しい。

自分自身をコントロールしにくい性格であったようだ。

それを人は「情熱の女」と呼んだ。

<彼女に目立つ点があったとすれば、それはがむしゃらな努力だった。あれは舞踊じゃない、体操だと悪口を言われながら、どたどたと踊り、怒鳴るような声で歌いまくる。それで誰かが文句を言おうものなら、「あんたなんかに芸術はわからないよ!」と容赦なくくってかかった。>

二度の離婚。

ヒステリックでエキセントリックな言動。

島村抱月の病死。

後追い自殺。


酷な言い方をすれば、スキャンダルと自殺が彼女を一層有名にしたようでもある。




松井 須磨子
松井須磨子―牡丹刷毛
渡辺 淳一
女優〈上〉
渡辺 淳一
女優〈下〉