第二章

第二章 幽閉された少年


ここでは、三島由紀夫の生い立ちについて描かれている。

「仮面の告白」で大きな位置を占めている祖母・平岡夏子が三島に与えた影響は誰よりも大きい。

母親からもぎとるようにして、祖母・夏子の手元におかれ、厳重な管理の下に育てられた公威(本名)は、過保護のために虚弱な体質に育っていく。

3歳になった頃から、遊び相手は祖母が厳選した3人の女の子のみ。外に出ることは許されず、障子を閉めきった暗い湿っぽい部屋で祖母と過ごしていた。

三島が一生を賭けて求めた力強さや男性的なものへの憧れは、この去勢されたような幼年期の生活にある。

夏子の心理を思えば、華々しい活躍で日本全国や海外を飛び回り、家庭を顧みない夫・定太郎への不満に満ちた生活の中で、公威だけが唯一の愛情の対象だったのだろう。

しかし、その愛情は醜く歪んだもので、夫に対する欲求不満の捌け口だったように見える。

三島が14歳の夏、祖母が亡くなった。
祖母によって遮られていた公威と母・倭文恵(しずえ)は、蜜月を迎えた恋人同士のような気分で甘えたり愛情を与えあった。

しかし、祖母の呪縛から解き放たれた三島に残されたものがある。

性的倒錯。
貴族的な趣味とプライド。

こうした生い立ちを経て、第三章は、太平洋戦争を挟んで、作家・三島由紀夫の誕生を迎える。

***

特筆すべきは、三島が「仮面の告白」で、祖父・定太郎に関してはほんの数行しか触れなかったように、ここでも、祖母と母親との確執や三島の奪い合いに、祖父や父親・梓は表面立って出てこない。

以前、三島の不道徳講座 を読み、そのあまりにふざけた文体に呆れて憤慨して落胆したけれど、本書を読んで思い当たった。

あの三島由紀夫らしからぬ一面は、三島由紀夫の不肖の父親(笑)平岡梓にそっくりなのだ。

以前、父親が三島由紀夫の死後に書いた「忰・三島由紀夫」を読んだが、あまりにもイタイ作品だった為に途中放棄したことがある。


血は争えない。(笑)
そのうち、やっぱり再読してみようと思う。(苦笑)


平岡 梓
伜・三島由紀夫


ジョン ネイスン, John Nathan, 野口 武彦
三島由紀夫―ある評伝

John Nathan
Mishima: A Biography

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