立原正秋はなるべく避けて通る(笑)。
これまた若かりし頃に嵌ったんですよ~。ほとんどの作品を読みましたが、 「春の鐘」は映画化されたこともあって一番印象的です。映画のイメージが強くて、本を読んでいても北大路欣也の顔が浮かんできちゃうのが困るんですけど(笑)。三田佳子の狂った妻の演技は迫力がありました。ちょっと渡辺淳一的、男の自己満足、自分の理想や願望を小説で体現しちゃうのが目立ちすぎ。 ま、小説というのは本来そういうもののようですが。
恵まれた生活の中で自ら毀れていく妻。
妻の不倫を知ってしまった夫。
子供が出来ないという理由で婚家を追われた若い女。
もうメロメロの世界です。(笑)
どろどろ、めろめろの物語なのに、終始、清流の流れの音が聞こえるような爽やかな印象と清潔感があるのは、立原正秋の人柄なのでしょうか。それとも彼の才能のせいでしょうか。
立原正秋は実生活でも、自分の家庭と自分の恋との板ばさみで相当悩んだようで、「火宅の人」を描けば、檀一雄にも絶対に負けません(笑)。
立原正秋の永遠のテーマは「情念」だったようですが、日本人ではなかった彼が描いている日本の情念。これこそ本物です。(立原氏は日本人と韓国人の混血と公表していたが、実際は純血の韓国人)
大人の恋愛とか、重~い情念とかを描いても良いですが、日本の古い文化に対する洞察や能楽、陶芸、骨董品、料理、美術品などに関する描写が素晴らしくて、立原ファンである理由のひとつです。
☆☆☆☆☆
著者: 立原 正秋
タイトル: 春の鐘 (上巻)
著者: 立原 正秋
タイトル: 春の鐘 (下巻)
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- 春の鐘
*この記事は2004年2月20日のものに加筆訂正いたしました。
