ロボットに使用された標章が登録商標と類似し商標権侵害にあたるとして、損害賠償などを求めた訴訟の判決が大阪地方裁判所であった。(大阪地裁令和5.12.14)

 

判決は、商標権侵害を認めた。

この判決で注目すべきことは、商標権侵害による不当利得返還請求権(民法703条)についてである。

 

まず、商標法38条3項所定の「受けるべき金銭の額に相当する額」は、本来、侵害者が登録商標の使用にあたり商標権者に対して支払うべきであった使用料相当額であるから、

 

侵害者がこれを支払うことなく登録商標を使用した場合は、その使用により、侵害者は同額の利得を得、商標権者は同額の損失を受けたものと評価することが可能である。

 

したがって、「使用料相当額が、不当利得(民法703条)における受益者の利得の額に相当し、かつ、権利者の『損失』の額に相当すると認められる。」とした。

 

不当利得期間における被告商品の売上げの合計が1億2521万7855円であることは当事者間に争いがない。

 

そうであるところ、不当利得期間における、非類似品及びロボット類似品の売上げは含まれないことが認められるから、同期間の侵害商品の売上げ合計は1億2521万7855円であることが認められる。

 

本件において、本件商標の使用許諾契約の存在を認めるに足りず、本件報告書において、商標権のロイヤルティ料率は、第7類の平均値が1.8%、最大値が9.5%、最小値が0.5%、標準偏差が2.3%であり、

 

第9類の平均値が2.7%、最大値が9.5%、最小値が0.5%、標準偏差が1.9%であることが認められる。

 

これらに、原告と被告は競業関係にあり、本件商号はカナダ法人の商号として使用されている一方、本件商標の貢献の程度は限定されていること、

 

「その他本件に現れた一切の事情を総合的に考慮すると、本件商標の使用に対して受けるべき料率としては2%が相当であると認められる。」とした。

 

以上から、「本件商標権の使用によって被告に生じた不当利得額は、別紙『損害額・利得額』の『利得額』欄記載のとおりとなり、その合計額は250万4357円となる。」としている。

 

不当利得返還請求権についてはこちらのブログが参考になります。

 

 

当ブログは「にほんブログ村」に参加しております。
よかったらこちらをクリック願います。
にほんブログ村 法務・知財