公正取引委員会は、「有明ノリ」の生産者に対し、不当に全量出荷を求めていた疑いがあるとして、福岡有明海漁業協同組合連合会など九州3県の漁協と関係先に、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで立ち入り検査を実施した。

 

それと関係し、以前、水産庁が策定した「水産物・水産加工品の適正取引推進ガイドライン」についてのブログを書いた。

 

 

上記のガイドラインでは、水産物と水産加工品の取引において、主に、独占禁止法と下請法との関係で問題となり得る具体例などが示されている。

 

その1つで、「1.漁業協同組合による販売事業の利用強制等」において、以下のようなことが明記されている。

 

漁協が系列外出荷を制限することや、系列外出荷を理由に、組合員に対し不利益・負担を与えることがあってはならない。

例えば、次のような行為は、以下の点から独占禁止法上問題となる。

 

1.組合員が販売事業を利用する際に、漁協が組合員に対して、全量または一定の割合・数量以上について販売事業の利用を強制する行為、

 

系列外出荷をしたい組合員が考えている品目についても販売事業の利用(買戻しも含む。)を強制する行為、

 

(上記においてそれぞれ合理的根拠に基づかない手数料の徴収を示唆するなど、系統外出荷を考えている組合員に対して実質的に販売事業の利用を強制している場合も含む。)

 

のように販売事業の利用を事実上余儀なくさせる行為(販売業務規程等の定めに基づく行為のみならず、事実上そのような効果を生じさせる行為を含む。)は、不公正な取引方法(一般指定)第10項の「抱き合わせ販売等」、第11項の「排他条件付取引」または第12項の「拘束条件付取引」に該当し違法となるおそれがる。

 

3.漁協が、系列外出荷をした組合員に対して、販売事業の利用に係る条件または実施について、他の組合員よりも不利な取扱いをする行為は、不公正な取引方法(一般指定)第4項の「取引条件等の差別取扱い」に該当し違法となるおそれがある。

 

4.漁協が水産物を販売している地域の流通事業者等(組合員が自身の所属する漁協の他の漁協が開設する産地市場に出荷をしようとする祭の当該他の漁協及びその開設する産地市場を含む。)に対して、組合員と取引しないよう求める行為は、不公正な取引方法(一般指定)第11項の「排他条件付取引」または第12項の「拘束条件付取引」に該当し違法となるおそれがある。

 

このように、漁協が組合員に対し全量出荷を要請することは、独占禁止法違反(排他条件付取引または拘束条件付取引など)になるとしている。

 

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