フランチャイズ契約(FC契約)によるチラシ折込費用の支払い義務はなかったとして、ほっともっとの加盟店が本部に不当利得(民法703条)による返還を求めた訴訟の判決が札幌地方裁判所であった。(札幌地裁令和4.1.20)

 

判決は、不当利得返還請求権を否定した。

この判決で注目すべきことは、チラシ折込費用の取扱いについてである。

 

まず、原告は、本件加盟契約を締結する約8年前の平成16年8月1日から、被告の運営する店舗の店長として稼動し、その後、被告との間で本件経営委託契約を締結する等しており、

 

その際には、チラシを折り込みにした場合、その費用が店舗の経費となることを理解していたことや、DSVが原告に交付した本件事業計画書の月次の損益計画では、販売促進費として9万4000円が計上されていたことも考慮すれば、

 

原告が負担すべき広告宣伝費等が実費の如何にかかわらず、月額7万5000円に限定される旨の合意が原告と被告との間でされたと認めることはできない。

 

そして、原告は、遅くとも平成24年10月1日以降は、店長として店舗責任者会議に参加し、販促計画書の交付を受けたこと、

 

この販促計画書には販促品の発注書も含まれており、同発注書の価格欄には「定額」「無償」のほか、具体的な金額が記載されていること、原告はこの発注書を被告に送付して販促品を注文していたことは前記認定のとおりであり、

 

これらの事実からは、原告が販促品や折込費用について別途費用がかかる場合があること、及びその額を認識しながら、注文を行っていたものと推認されるから、本件折込費用については原告が負担する旨の合意が成立していると認定できる。

 

よって、「本件契約における広告宣伝費等について、月額7万5000円以外に実費の負担がないという原告の主張は採用できず、むしろ、原告が負担する合意があったものと認められるから、本件折込費用等を被告が受領する法律上の原因がないとはいえない。」として、不当利得返還請求権を否定した。

 

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