マイナンバー制度はプライバシー権を侵害し違憲であるとして福岡と鹿児島の住民が国に個人番号の利用差止めを求めた訴訟の判決が福岡地方裁判所であった。(福岡地裁令和2.6.15)

 

判決は、原告の請求を棄却した。

この判決で注目すべきことは、憲法13条は自己情報コントロール権を保障しているかである。

 

まず、「憲法13条は、国民の私生活上の自由が公権力の行使に対しても保障されるべきことを規定しているものであり、個人の私生活上の自由の1つとして、何人も、個人に関する情報をみだりに第三者に開示または公表されない自由を有するものと解される。」とした。

 

これに対し、原告らは、憲法13条によって、「自己の個人情報が収集、保管、利用、提供される場面について、事前に目的を開示され、目的のため個人情報の収集、利用等について同意権を行使する権利」としてのプライバシー権(自己情報コントロール権)が保障されていると主張する。

 

しかしながら、プライバシーという概念は極めて多義的であって、1.個人に関する情報は、その客観的な内容、性質によって定まる秘匿性の程度や当該情報主体が主観的に認識している秘匿性の程度は様々であることから、どの範囲の情報が保護対象となるのか、その権利としての外延が明確ではないし、

 

2.情報の収集等の目的や態様によって、情報主体が被る不利益の程度も異なるものであるから、どのような場面において情報主体によるどのようなコントロールを権利として認めるべきか、その権利としての内容も明確であるといえない。

 

それゆえ、「憲法13条が自己情報コントロール権を具体的な内容を有する権利として保障しているものと解することは困難である。」とした。

 

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