リハビリ型デイサービスに係るフランチャイズ契約(FC契約)が債務不履行により解除されたことから、本部が加盟店に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が知的財産高等裁判所であった。(知財高裁令和2.6.30)

 

この判決で注目すべきことは、ロイヤリティ支払猶予の合意についてである。

 

まず、仮にこのような支払猶予の合意が無条件で成立したとすると、被控訴人は、控訴人の売上げが月額240万円に達しない場合、いつまでもロイヤリティの支払を受けることができず、かといって、ロイヤリティの支払がないことを理由に契約解除をすることもできない立場に立たされるkとになり、その結果は、余りにも不合理であるといわざるを得ない。

 

結局、控訴人が主張するような支払猶予合意が成立したといえるためには、「支払猶予の対象となるロイヤリティは、どの範囲のものであるか、支払猶予が解除される条件(例えば、売上げが月額240万円を超えたこと)が達成された場合、具体的にどのような形で、未払ロイヤリティの支払が求められることになるのか、解除条件が達成されないまま長期間が経過した場合、それでも契約関係は継続されるのかなどといった具体的な内容が確定される必要があると考えられる」にもかかわらず、そのような点について合意はもとより、話し合いがされた形跡もうかがわれない。

 

このように考えると、控訴人が、売上げが少ない中でロイヤリティの支払は困難であると主張し、被控訴人も、まずは、控訴人の業績を改善させる必要があり、そうすればロイヤリティの支払を受けることも可能にあると考えたところから、

 

「当面の間は、ロイヤリティの支払義務を事実上猶予していたと認定するのがせいぜいであるというべきである。」とした。

 

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