遺留分の侵害額算定に関し、合資会社の無限責任社員が退社により会社に対し金員支払義務を負うか否か争われた訴訟の上告審判決が最高裁判所であった。(最高裁例和元年12.24)

 

判決内容は以下のとおりである。

この判決で注目すべきことは、合資会社の無限責任社員の責任に関してである。

 

まず、無限責任社員が合資会社を退社した場合には、退社の時における当該会社の財産の状況に従って当該社員と当該会社との間の計算がされ(会社法611条2項)、

 

その結果、当該社員が負担すべき損失の額が当該社員の出資の価額を下回るときには、当該社員は、その持分の払戻しを受けることができる(同条1項)。

 

一方、「上記計算がされた結果、当該社員が負担すべき損失の額が当該社員の出資の価額を超えるときには、定款に別段の定めがあるなどの特段の事情がない限り、当該社員は、当該会社に対してその超過額を支払わなければならないと解するのが相当である。」とした。

 

そのうえで、「無限責任社員であったAが本件会社を退社した当時、本件会社は債務超過の状態にあったというのであるから、退社時における計算がされた結果、Aが負担すべき損失の額がAの出資の価額を超える場合には、上記特段の事情がない限り、Aは、本件会社に対してその超過額の支払債務を負うことになる。」とした。

 

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