ブルーベリー農家の方がみかんなどを栽培し加工販売を行っている農業法人に対し商標権侵害を理由に、ジャムなど加工食品に使用される商標の使用差止めを求めた訴訟の判決が東京地方裁判所であった。(東京地裁平成30.2.14)

判決は、商標権侵害を否定した。
この判決で注目すべきことは、指定役務と商品とが類似するものかである。

まず、「役務と商品とが類似のものかどうかは、取引の実情として、商品の製造・販売と役務の提供とが、通常、同一の事業者によって行われている等の事情により、商品または役務に同一または類似の商標を使用する場合には、需要者において、当該商品が当該役務を提供する事業者の製造または販売に係る商品と認識されるおそれがあると認められる関係があるか否かによって判断すべき」とした。

なお、「小売等役務商標制度の施行後も、商品と役務とが互いに類似することがあること(商標法2条6項)に変わりはなく、出所の誤認混同を招くおそれが認められる以上、小売等役務を指定役務とする商標権の効力が商品に一切及ばないと解するのは相当ではない。」とした。

そのうえで、「清涼飲料」と「加工食料品」は、いずれも一般商品者の飲食の用に供される商品であるとはいえ、取引の実情として、「清涼飲料」の製造販売と「加工食料品」を対象とする小売等役務の提供が同一の事業者によって行われているのが通常であると認められるに足りる証拠はないことから、類似するものにあたらず商標権侵害を否定した。

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