帆布を使用して製造されたバッグなどの商品に、江戸時代に工楽松右衛門が創製し兵庫県高砂市の特産品である「松右衛門帆」の表示を付して販売することが不正競争防止法違反(品質等誤認表示)にあたるか争われた訴訟の判決が大阪地方裁判所であった。(大阪地裁平成29.3.16)

判決は、不正競争防止法違反を否定した。
この判決で注目すべきことは、「松右衛門帆」が商品の品質を示す表示であるかである。

まず、ある表示が商品の「品質、内容…について誤認させるような表示」といえるためには、その前提として、「需要者の間において、当該表示が商品の品質や内容を示す表示であることを一般に認識されることが必要である。」とした。

そのうえで、「松右衛門帆」と呼ばれる帆布も様々なものがあり、その品質にも上下があるとされ、実際、現存する「松右衛門帆」もその規格は様々で、縦糸及び横糸に使用する糸の太さ、すなわち、撚り合わせる糸の太さや本数は明確ではないことなどから、

「現在の全国の一般消費者において、『工楽松右衛門』ないし『松右衛門』の名や事績が広く知られているとは認められず、また、『松右衛門帆』が、工楽松右衛門が創製した特定の品質ないし内容の帆布を意味するとの認識を有するとは認められない」として、不正競争防止法違反を否定した。

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