案内用マーク(ピクトグラム)の改正を議論していた経済産業省の委員会は、いわゆる、温泉マークを存続させることを決めた。
 
温泉マークは、温泉のみならず、公衆浴場施設を示す記号でもある。
そして、温泉マークはこちらのブログで書いたように慣用表示となっている。
 
それはさて置き、山梨県の温泉施設運営会社「湯~とぴあ」が、静岡県函南町の温泉施設を商標権侵害を理由に標章の使用差止めなどを求めた訴訟の控訴審判決が知的財産高等裁判所であった。(知財高裁平成27.11.5)
 
判決は、一審判決を覆し、商標権侵害を否定するものであった。
この判決で注目すべきことは、原告商標「ラドン健康パレス湯~とぴあ」と被告標章「湯~トピアかんなみ」が類似するもの(類似商標)かである。
 
まず、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合においては、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して類否を判断することは、原則として許されないが、
 
他方で、「商標の構成部分の一部が取引者または需要者に対し、商品または役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じない場合などには、商標の構成部分の一部だけを取り出して、他人の商標と比較し、その類似を判断することが許される」とした。
 
そのうえで、「ゆうとぴあ」と称呼される語は、「湯」の漢字を含む場合であると、「湯」の漢字を含まない場合であると、いずれの場合であっても、入浴施設の提供という役務において、全国的に広く使用されているものであって、
 
「原告商標のうち下段の『湯~とぴあ』の部分及び被告標章のうち上段部分の『湯~トピア』の部分は、入浴施設の提供という役務の関係では、自他役務の識別力が弱いというべきであるから、取引者または需要者をして役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということはできない」として、商標権侵害を否定した。
 
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