自宅のポストにとあるラーメン店のチラシが投函されていた。
チラシには、開店直後に類似商標の問題により店名を変更した旨の記載があった。
 
ネットで調べてみたところ、旧店名は「○○○ど味噌」であった。
次いで、特許情報プラットホームで商標検索したところ、商標登録されていたラーメン店「ど・みそ」があった。
そこで、登録商標「ど・みそ」と「○○○ど味噌」が類似する商標にあたるか考えてみたい。
 
まず、判例から、「商標の類否は、同一または類似の商品に使用された商標が外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきもの」である。
 
そして、「商標の外観、観念または称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所を誤認混同するおそれを推測させる一応の基準にすぎず、したがって、上記3点のうち類似する点があるとしても、他の点において著しく相違するか、または取引の実情等によって、何ら商品の出所を誤認混同するおそれが認められないものについては、これを類似商標と解することはできない。」としている。
 
ここでポイントとなるのは、「ど味噌(どみそ)」の部分である。
 
この点につき、判例は、「商標の構成部分の一部が取引者または需要者に対し、商品または役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じない場合などは、商標の構成部分の一部だけを取り出して、他人の商標と比較し、その類似を判断することが許される」としている。
 
例えば、看板に「ど味噌」を太字にするなど人目に引くよう表示していた場合は、出所識別機能を果たすものであるから、そこを要部として類似性を判断することになる。
 
どうやら、看板では「ど味噌」を強調していたようであるからまずかったのかな!
一方、「○○らーめんど味噌」と「ど味噌」の部分を目立たせることなく使用していれば、問題はなかったといえるケースでもある。
 
何より、訴えられる前に適切な対応をしたのは良かったことである。
ただ、強いて言えば、開店前に行政書士などに商標調査を依頼すべきではなかったかと思うことでもある。
 
こちらのブログで書いたとおり、商標調査は行政書士も行えるだけに…
 
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