一昨年から、特許権、実用新案権、意匠権に係る通常実施権当然対抗制度が創設されている。
これまでは、特許庁の登録原簿に通常実施権の設定登録をしなければ、会社の合併など何らかの事情で特許権等が移転した場合に第三者に権利(使用権)を主張することができなかった。
 
この通常実施権登録制度が廃止されたことで、通常実施権設定契約が有効に成立すれば第三者に使用権を主張することができるようになり、契約を解除される心配はなくなった。
 
特に影響があるのは、権利者(ライセンサー)が破産した場合である。
破産宣告されると、破産者に属していた一切の財産は原則として破産財団に組み込まれ、破産財団の管理・処分権は、裁判所によって選任された破産管財人に専属することになる。
 
そのため、破産者との間で交わしていた契約は、原則として破産管財人により契約解除されることになる。
 
しかし、破産法56条1項は、「賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定する契約について破産者の相手方が当該権利につき登記、登録その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には、適用しない。」と、例外を定めている。
 
この「使用及び収益を目的とする権利を設定する契約」に、使用許諾契約(ライセンス契約)も含まれるので、特許権等の通常実施権はもちろん、商標権または育成者権の通常利用権に関する契約にも適用されることになる。
 
ただし、その際は契約の事実を立証しなければならない。
そのためにも、契約書は不可欠なものとなる。
 
契約書(特許・ノウハウ実施許諾契約書)を作成するにあたっては、当サイトのこちらが参考になります。
 
それから、プログラムも含め著作権のライセンス契約については、登録制度または当然対抗制度がないため、ライセンサーが破産すると原則として破産管財人に契約を解除されることになる。
 
そこで、そのような事態に備え、契約時にライセンサーが破産などした場合はライセンシーに著作権が移転する旨の契約条項をあらかじめ盛り込んでおくやり方もある。
 
裁判所はこのような条項を有効としている。
詳しくはこちらのブログ記事をご覧ください。
 
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