水道工事費を水増しして市に損害を与えたとして、背任罪(刑法247条)などに問われた美唄市の元職員への判決公判が札幌地方裁判所であった。(札幌地裁令和8.3.13)
判決は、懲役2年6か月の実刑などとした。
判決内容は、以下のとおりである。
まず、本件は、市の水道課職員であった被告人が、1.なじみの業者と共謀の上、工事代金の水増し請求させて市に約707万円もの損害を生じさせた背任の事案と、
2.入札にかかる最低制限価格を別の業者に教えてきたことへの謝礼等として、被告人らの私的な旅行代金等(合計約85万円相当)を当該業者に負担させた収賄の事案である。
本件背任により市に生じさせた損害は高額であり、弁償も被告人から50万円、業者から125万円しかされていない。
また、本件収賄で被告人が供与を受けた利益は、収賄事案としては高額とはいないえないが、
それでも、4泊5日の沖縄旅行にかかる2人分の航空券や高級ホテル代等一切の費用を業者に負担させたもので、公務に対する信頼を犠牲にして私欲を満たした利益としては大きい。
翻って本件背任についてみても、被告人らは、これまでにも工事代金の水増し請求を繰り返してきたもので、
本件においては、被告人が転職した際に利用する高級自動車の購入資金に充てるため、被告人の方から多額の水増しを提案したというものである。
そうすると、本件背任及び収賄は、いずれも被告人が地元の業者らと癒着する中で、私利私欲を増大させ、公務員としての倫理観が冷薄になる中でなされた犯行といえる。
以上のとおり、本件は、背任による損害が大きいばかりか、収賄はもとより背任も公務遂行の公正に対する信頼を害する犯行であり、私利私欲を増大させてこのような犯行を行った被告人に対する非難は強いというべきであるから、犯情は悪い。
以上のとおり、「弁護人の主張を踏まえて検討しても、本件の犯情は悪いので、被告人に対して懲役刑の執行を猶予することはできない。」としている。
当ブログは「にほんブログ村」に参加しております。
よかったらこちらをクリック願います。
にほんブログ村 法務・知財