愚者のワンダフルワールド

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人生や心、時々スピリチュアル。
目に見えるものだけでは説明できない不思議も大切にしながら、日々の気づきや感じたことを綴っています。
自分のためのネタ帳であり、心の吐き出し場所です。

この世はアトラクション、心のおもむくままに楽しもう!
色んなことを体験し感じるために生まれてきた魂
一年前の悩みはもう忘れた、そんなもの。
自分を受け入れ愛せた時に世界が開ける。

こんにちは、今日は昔話です。


20代の頃の私は、


今よりもっとエネルギーの塊だった。


よく食べ、

よく働き、

よく遊んだ。


異性への興味も人一倍強く、


今思えば、

かなりチャラチャラしていたと思う。


そんなある日、

先輩から頼み事をされた。


「気になる女の子がおるんじゃけど、

電話して遊ぶ約束取ってくれんか?」


当時の私は、

人と話すことが得意だった。


「大丈夫ですよ!」


と二つ返事で引き受けた。


今なら考えられないが、

当時はスマホなどない時代。


家の電話は固定電話だった。


ドキドキしながら掛けると

出たのは男性。


おそらくお父さんだったと思う。


私は少し緊張しながら、

適当な用件を伝え、

娘さんに代わってもらった。





ただ、


その時のお父さんの声に、

少し違和感があった。


年頃の娘にかかってきた電話なら、

もっと警戒したり、

ぶっきらぼうだったりしても

不思議ではない。


でも違った。


どこか丁寧で、

どこか優しくて、

何かを願うような、

不思議な空気があった。



しばらくして、

娘さんが電話に出た。


だが、


話し始めた瞬間、

私は違和感を覚えた。

言葉が少し不自由だったのだ。


発音も、話す速さも、

どこかぎこちない。


そして彼女は、


ゆっくりと、

一生懸命に話してくれた。


交通事故に遭ったこと。

大きな怪我を負ったこと。

寝たきりに近い状態になったこと。


後遺症が残ること。

日常生活も大変なこと。


一つ一つ、

言葉を絞り出すように話してくれた。


私は頭を殴られたような

気持ちになった。


自分がどれだけ軽い気持ちで

電話をかけていたのか。

どれだけ浮ついた気持ちだったのか。


恥ずかしかった。

情けなかった。


そして何より、

胸が張り裂けそうだった。


私の軽はずみな行動が、

彼女をもっと傷つけて

しまったかもしれない。


そう思ったからだ。


それでも私は、

電話をした本当の理由を伝えた。


先輩が会いたがっていること。

遊びに誘いたかったこと。


すると彼女は、

少し沈黙した後、


涙をこらえるような声で

話してくれた。


今の自分では期待に

応えられないこと。


申し訳ないと思っていること。


そして、

最後にこう言った。


「電話をしてくれて、ありがとう、

嬉しかった、けどゴメンね」


私は言葉を失った。


本当は、

謝るべきだったのは私の方だった。


なのに彼女は、

最後まで私を責めなかった。


それどころか、

感謝の言葉まで伝えてくれた。


私は軽率だったことを謝り、

思いつく限りの励ましの言葉を伝え、

短い挨拶をして電話を切った。


受話器を置いた後も、

しばらく動けなかった。






数日後、

先輩には事情を説明した。

それで話は終わった。


ただ、

私の中では終わらなかった。


あの日を境に、

確実に人を見る目が変わった。


明るそうに見える人。

元気そうに見える人。

普通に暮らしているように見える人。


だけど、


本当は何を抱えて生きているのか

分からない。


人生は、

努力や根性だけでは

どうにもならないことがある。


ある日突然、

何もかも変わってしまうこともある。


そして、

そんな現実を抱えながら、

必死に生きている人がいる。


私はそのことを、

あの日初めて知った。


今でも思う。


あの日、

彼女に人生を教えられた。


話した時間は、

それほど長くなかった。



でも、

あの子は私に、


人生の儚さを教えてくれた。

人の誠実さを教えてくれた。


そして、人の尊さや

この世の無情さを教えてくれた。


人生は、

元気な時だけのものじゃない。


思い通りに生きられる

人ばかりでもない。


突然、

何もかも変わってしまうこともある。


それでも人は生きる。


歯を食いしばりながら、

苦しみながら、


泣きながらでも、

前を向こうとする。


あの日の電話の向こうにいた彼女は、


そんなことを、

身をもって私に教えてくれた。





彼女がその後、

どんな人生を歩んだのかは知らない。


ただ、あなたが人生をかけて

蒔いた種は今も私の中で育っている。


そして、このことで

分かったことがある。



「同じ空の下、

必死に生きている人がいる。」


あの日の出来事は、

若かった私の中に、

ずっと消えない何かを残した。


人の1日の重さや長さは

同じでは無いことを学んだ。


この季節になると思い出す話です。