北海道大学の総合博物館を見学するのは2回目だが、ここに来ると自分の背筋が伸びるような気がする。
博物館を入ったすぐ左に北海道大学の前身である札幌農学校の創始者である黒田清隆の事績が簡潔に記されているが、これが実にいい。
しかし、私が北海道大学に強く魅かれるようになったのは、矢内原忠雄の一文に接したからである。
日本の教育には二つの源流がある。一つは東京大学の国家主義、一つは札幌農学校の民主主義。札幌の人間を造るリベラル教育ではなく、東京の国家主義、国体論、皇室中心主義が教育の支配的理念となって、結局は先の大戦に至った、という趣旨の一文である。
なるほど、そういう見方もあるのか。
ひょっとすると私は、どちらかと言うと東京の国家主義に毒されていたのかしら。
そう、自分自身を見詰め直し始めたところである。
何を学ぶかは人それぞれだろうが、私にとって北海道大学総合博物館での学びは実に大きい。
国家は教育が作り、教育は政治が作る。
北海道大学ほどそういう事実を如実に語る場は少ないのではないかしら。
とりあえず皆さんにも北海道大学総合博物館を見学されることをお勧めしておく。
百聞は一見に如かず。