予算を人質にして閣僚の政治資金問題の追及に時間を費やしてしまう国会の慣行を何とか変えてもらいたい。
現行の政治資金規正法がザル法だなどと批判される方がおられるが、ザル法だザル法だと批判するだけでは何も変わらない。
国民の怒りが内閣に向けられるようになればさすがに内閣としても何らかの対処をするだろうが、今のところそこまで凄い怒りが国民の間に蔓延しているという雰囲気はない。
後数日間凌いでいれば、また有耶無耶になってしまいそうな雲行きである。
政治資金規正法の改正は、私も必要だと思っている。
国から補助金の交付を受けた企業は政治献金は出来ないことになっている、というのは企業の経理担当者や会計士、監査役、顧問弁護士等の常識だと思っていたが、地元で名うての企業でも違反行為を繰り返していたところがある、というのだから驚きである。
聞かれればダメだと教えるところだが、誰も聞かないから違法行為が罷り通っていたようである。
安倍総理の関係する政治団体や安倍内閣の複数の閣僚が関係する政治団体がそれぞれ国の補助金を受給していた企業から政治献金を受けていた、ということだから、実際にはノーチェック状態だったことが窺われる。
政治資金規正法がおよそルールとして機能していなかった、ということだ。
永田町では、違法な政治献金だったら返せばいい、という慣例になり始めているのが気に食わない。
違法な政治献金なら貰いっ放しというのはいけないが、だからといって献金企業に返還することで違法な行為をした企業に経済的利益を与えるのが、どうにも気に食わない。
現行の政治資金規正法ではそうするしかない、ということかもしれないが、ならば政治資金規正法を改正すべきである。
今の国会審議を見ていると、どうやらそろそろ皆さんこの問題の幕引きを考えているようだ。
あれだけ大騒ぎしたのに、結局は政治資金規正法の改正問題は棚上げになり、選挙の直前にお茶を濁したような改正を十分な審議もしないままバタバタとやって、はい、国会はこういう形で政治資金の透明化と政治の浄化に努力しました、と言う。
公職選挙法の改正や政治資金規正法の改正は、最大の利害関係者である国会議員にやらせるものではない。
政治活動の自由を根こそぎ奪うような雁字搦めの規制になっては困るが、少なくとも議会制民主主義の基盤を強化する程度の実効性もあり、合理性もある改正にする必要がある。
勿論国会議員の関与は必要だが、公職選挙法や政治資金規正法の改正の審議は、公立中正な第三者が主として行うべきものである。
内閣が公職選挙法等の改正案を検討するときは審議会等の第三者機関を活用することになるが、立法府である国会においても改正案の策定のために民間有識者等を活用することを検討してもいい。
まずは、政治資金の適正化のための諸方策を検討するために、問題の所在を明確化するとともに、適正化のための基本方針を明記し、これを検討するための専門委員会を両院に設置する程度のことくらいはやってもらいたいものだ。
さて、どなたが動き出すだろうか。
出来れば、自民党の方から言い出してもらいたいものである。