「救急車と救命士 病院常駐で威力」「医師とタッグ 迅速に対応」と見出しが振ってある。
こういう問題にマスコミが注目し始めたことはいい。
しかし、まだ新聞記者の方々の認識が中途半端で、実は切り込み不足だということも伝わってくる。
「本来消防署などで待機する救急車を病院に常駐させ、救急救命士や医師を乗せて出動する「救急ワークステーション」が広がっている。素早い対応が可能になるのに加え、日常的に究明処置の訓練ができるめりっともある。医療関係者の期待は大きい。」とあるが、「本来消防署などで待機する救急車」という認識をもう少し詰めておくと救護救急が抱えている大きな問題にもう少し近づくことが出来たはずだ。
救急車は何のためにあるか、ということを考えたらいい。
救護救急を必要とする状態に陥った人を緊急に救助するための人的、物的設備を備えた車両が救急車だろう。
目下のところ自治体が運営する消防署に救急車が置かれているが、何も救急車は自治体にだけ専属するものではない。
救護救急を必要とする状態に陥りやすい人との接点が多いところには救急車を配備した方がいい、ということは誰でも思い付くはずだ。
まずは、救急医療を担当する医療施設である。救急医療を担当する医療施設に救急車が配備されていれば、相当程度救護救急の実を上げれるようになるだろう。
日経は消防の救急車のことしか取り上げなかったが、実は病院も救急車を置くことが出来る。
日経の記者の頭の中には消防署の救急車、消防救急救命士のことしか念頭になかっただろうが、実は病院救急救命士も増えている。
病院救急救命士を活用する道を探ることが、まずは救護救急の喫緊の課題だろうと思っている。
救急ワークステーション構想を国や自治体が推進し、救急ワークステーションの設置運営費用の一部を国や自治体が負担する、という方向性は正しい。
しかし、救急ワークステーションの設置運営を誰が担うべきか、ということについてはある程度柔軟に考えた方がいい。
何でもかんでも国や自治体が全部やらなければならない、と思わないことだ。
民間で出来ることは、民間でやれるようにした方がいい。
病院の救急車を有効に活用することだ。
病院救急救命士を有効に活用することだ。
高度の教育を受けた病院救急救命士や医師が消防機関に配属されている救急救命士の指導や実習教育を担うようになったらいい。
いずれは、救急車を増やすことだ。
救急車は消防署にしかない、という既成概念・固定観念を取り払うことが出来たら、救護救急体制の整備はぐっと進むはずである。
まだ日経の記者の認識は、中途半端である。
しかし、救護救急の現場の問題がマスコミでも取り上げられるようになったことはいいことである。
弁護士早川忠孝の雑来帳「ザッツライッ」
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