選挙の資金だろうが将来の生活の不安に備えるための蓄えだろうが、公務員たる者、絶対に自分の職務権限が及ぶ相手からお金を受け取るようなことはしてはいけない。
預かっただけだという言い訳は、通用しない。
借りただけだという弁解も通用しない。
紙切れ一枚の借用書を差し入れて、これは借りただけだ、貰ったものではない、などと懸命に弁解して追及を免れようとする人が多いが、その程度の工作で本当に金銭の貸し借りだと認定する人がいれば、その人は相当なお人好しだ。
弁護士を帯同し、返済期日や利息の約定のある本物の金銭消費貸借契約書を交換し、銀行を経由して表で堂々と金銭の授受をしても自分の職務に関して金を受け取ったことになる。
自分の職務権限の及ぶ相手からは、公務員は理由の如何を問わず金を貰ってはいけない。
猪瀬氏はアウトである。
支援を求めてはならない相手に支援を求め、お金まで受け取っていたのだから、その事実が明らかになった以上今日からは収賄の嫌疑が濃厚な被疑者扱いにせざるを得ない。
副知事という職務の清廉さ、公正らしさを損なう行為だったという認識が欠如していたのがいけない。
阿吽の呼吸で闇の金を受け取ったのがいけない。
こういう時にどうすればよかったのか相談されれば知恵の一つでも授けることが出来たかも知れないが、猪瀬氏は私には縁がない人だったので何のアドバイスもしてあげられなかった。
使わない金なら、受け取らなければよかった。
選挙には金がかかるという強迫観念から色々な人にスポンサーになってくれるようにお願いに歩いたのだろが、相手を間違えていた。
確かに徳洲会は金離れのいい、選挙のスポンサーにするのには絶好の相手だったろう。
患者の支払う治療費か国等から支給される医療補助費等の一部を裏金にして、湯水のように選挙にお金を使う徳洲会ははじめて選挙を戦う普通の人間には実に頼もしい相手に見えただろう。
錯覚である。
金を出した方も受け取った方も錯覚している。
お互いに、相手が悪かった。
せめて選挙資金として受け取るのだったら資金管理団体に指定する後援会の名前で受け取ればよかったかなあ、という程度の考えしか浮かばないが、猪瀬氏は踏み越えてはならない一線を踏み越えた。
あなた、現職の副知事だったんでしょう?
部下の不祥事に対してあなたはどう対処してきましたか?
李下に冠を正さず、ってあなたの辞書には載っていないんですか?
政治資金規正法や公職選挙法の細かい条文を指摘してあれこれ、この条項に違反している、いやその立証は難しいのではないか、などとワイワイ騒ぎ立てるような事案ではない。
鉈でバサッと斬るべし。
みのもんた氏の登場を待つ。