特定秘密保護法違反刑事事件は裁判員裁判に馴染む | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

普通の善良な一般人が巻き込まれやすい刑事事件の筆頭は目下のところ公職選挙法違反事件だが、運用次第で問題になりそうなのが特定秘密保護法違反の刑事事件である。

行政機関の長が一方的に特定秘密に指定したが、その秘密が本当に特定秘密として保護に値する秘密であったかを事後的にチェックする仕組みがどうしても必要となる。
特定秘密指定の手続きの適正さと特定秘密該当性判断の適正さの両方が特定秘密保護法違反の刑事裁判の中で争われることになる。

私は、普通の善良な市民が違反に問われる虞があるから、そういう人のための相談窓口を開設することと、万一刑事事件になった時は、本人の資力の有無を問わないで一律に国費で弁護士を付ける国選弁護人制度の対象とすべきである、ということを考えている。

国益を守るためにどうしても特定秘密保護制度を導入せざるを得ないということを認めたうえで、この制度導入によって必然的に出てくるであろう社会的なマイナス事象、すなわち一つの法制度導入に伴う副作用に対して国は何らかの救済措置を用意すべきである、と考えるからである。

実にシャープな方から貴重な意見を頂戴した。

「そんなことより必要的裁判員制度の対象にしたら。」

これこそ特定秘密保護法の本質的な議論に繋がる貴重な提言である。

裁判員裁判は何も法定刑に死刑、または無期懲役が含まれる重大犯罪や薬物犯罪だけに限定されなければならない訳ではない。
国民に基盤を置いた司法制度を構築するという司法改革の理念からすれば、特定秘密保護法違反刑事事件こそ裁判員裁判に相応しいという主張はまさにそのとおりである。

問題となっている秘密が特定秘密として一般の国民に開示されるべきではない秘密であるのかどうか、ということについて国民の意見や意思を反映させるべきである、という主張は新鮮である。

私は、行政裁判にも裁判員裁判制度を適用すべきである、という論者であるが、特定秘密保護法違反事件を必要的裁判員裁判の対象にするということはまったく脳裏になかった。

実に何気ない一言である。
実に素っ気ない一言である。

しかし、読む人が読むとこの一言はとてつもなく大きくなる。