海上保安庁が中国漁船の体当たりなどの状況を録画したビデオ映像を公開するかしないか、の議論が国会筋でなされているが、ビデオ録画を公開しないことを中国政府との取引の材料になどしてはならない。
一時的に相手の譲歩を引き出す有効なカーだのように見えても、実は大変な過ちを犯していることになる。
本当のことを全て明らかにしたうえで、交渉に臨むべきである。
日本が中国に対して強硬路線に転換したとか、対決路線を採った、などと騒ぎ立てず、まず双方の言い分を客観的に検証できる材料を提供するのだ、と淡々と公開するのがいい。
ここで中国政府の反発やさらなる抗議行動に気兼ねしてビデオの公開を渋ることになると、本当に日本は後悔することになる。
国民の「知る権利」を、政府は尊重すべきである。
真実を隠蔽糊塗するところからは、何も前向きの解決は生まれない。
単に、誰かさんの既得権益を護るだけ、のことである。
仮にビデオの公開に中国政府が反発しフジタの社員の解放が遅れたにしても、現時点では身柄の安全は確保されているのだから、それほど心配する必要がない。
中国政府や中国の国民が騒ぎ立てれば立てるほど、今度は国際世論が中国から離れていく、と見た方がいい。
本当のことを公表しないことを取引のカードなどに、絶対にしてはならない。
一度そんなことを許してしまえば、私たちは本当のことを知ることが出来なくなる。
これは恐ろしいことだ。
「人は拠らしむべし、知らしむべからず」の時代に戻ってはならない。
多少マスコミ世論に戸惑いがあるようなので、ここはあえて大きな声を上げておく。