犯罪が行われている現場にいながら見て見ぬふりをする。これはいったいどういうことか。
私たちは、そんなにも醜く、卑怯な国民になってしまたのか。
昨年8月、JR北陸線の富山発大阪行きの特急列車の車内で女性が暴行を受けたという新聞報道を読んだ。
車両には40人ほどが乗り合わせており、恐怖で助けを求められないまま、泣きながらトイレに連れて行かれる女性に気付いた乗客もいたとのこと。
触らぬ神にたたりなし、と知らぬ顔の半兵衛を決め込んだのか。それとも、痴話喧嘩と誤解して、黙過したのか。
今頃事件の報道に接して、なぜあの時、助けの手を差し延べることができなかったかと、悔やんでいる人もいるのではないか。
私たちは卑怯と呼ばれることを恥としてきた、誇り高い国民だったはずである。
何かが狂っている。
聞けば犯人は同種事件で公判中だったという。
こんな犯罪者がどうどうと世間を歩いているということに私たちはもっと敏感でなければならない。
助けを求めたいが、声を上げられないでいる人の存在に、決して目を瞑ってはならない。
美しい国、日本を創るのは私たちの大事な役割である。
日本人の心の持ちようから変えていかなければならない。
知・仁・勇の勇がまさに求められている。