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郵便局から電話が何度もあります。

 「出荷商品の内容な何でしょうか?」

 

今や電子部品全ては爆発物扱いであって

 ネジでもスイッチでもICでも

「危険ですから発送できません。」・・・と。

 

 

信号の遅延に使われる微弱なコンデンサーや平滑用でも

和名称は「蓄電器」

 

電力を蓄えて輸送中に発火する可能性のある充電池の

和名称は「蓄電池」

 

知識のない方から混同されても仕方がないですが電子部品一般が

 ネジや電線、ビニルテープまで同等に「発火物扱い」では

  文具も売れませんね。

 

 

でも・・・僅かなリチウムイオン電池が貨物に混ざっていて

 航空機で輸送中に発火したら・・・人命が多く失われるのですから

  怪しいもの航空貨物として載せない判断は理解できます。

 

だから郵便局の確認や陸送への義務化

 (到着が遅い)はやむを得ませんね。

 

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毎日のようにニュースを騒がせる

 リチウムイオン電池の爆発火災事故・・・

 

 

貨物室内で発火し航空機は何度も火災で墜落 乗員乗客全員死亡・・・

 自動車 電車内やポケットで突然爆発して大やけど

  無人の部屋に放置したり ゴミ収集車内で発火・・・

不燃としてポイ捨てして火災に・・・

 

 

「電池の歴史」は「火災との戦いの歴史」ですが

 今まで安全を最優先にして来た家電や情報産業などの装置に不可欠な電池。

  「高容量・小型軽量は素晴らしい」から始まったリチウムイオン電池市場は

安全性を無視して強引に世界中に 民間市場にまで溢れていますね。

 

 

電池は基本的にエネルギータンクであり

高容量は発火した際に致命的な方向への事故になります。

 小型軽量はエネルギー密度の上昇とともに

  内層のセパレーターを貧弱にし

自然発火(しかもセル内部ショート※1)だからヒューズや安全装置も

通用しない・・・誰がこんな恐ろしい時代を築いたのか・・・

 

 

リチウムイオン電池の開発者は

 「理想の実現という栄誉」と「人命の軽視」を

   同時に得たように私は思うのです。

 

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昭和や平成中期まで 人命優先 安全を優先していた

 世界の電子部品工業会・・・

 

しかしそれを「高用量」「小型軽量」などの」利便性を最優先にした

 リチウムイオン電池が電子機器の安全性を無視し重要な要(かなめ)として

  携帯通信機器(PHSやアナログ携帯電話など)に採用され始めました。

 

電池は何があっても絶対に発火してはいけない・・・

 その「歴史」は時代の流れとともに無視されるようになったんですね。

 

 

 

家にも数個のリチウムイオン電池はありますが

 缶に入れてしまってあります。

万一発火してもいいように・・・

 

マッチ箱サイズでも

 机の上が燃え盛るほど強力で

 

大きい場合

ノートPC 用のこのくらいのサイズが有れば

 一部屋くらいは瞬時に火の海になります。

(預かり品として庭に耐火ケースに入れてあります)

 

 

他の充電式電池と大きく異なるのは

 リチウムイオン系は素材が活性化物質ですから容量がカラになっても

  発火力や自然発火の危険性が変わらないことです。

 

まあ・・・製品組み込み用のダイナマイトのような・・・

 

放電しきっていて(完全放電後)も輸送中の危険性が変わらないこと。

 ここがメチャ怖いですね・・・

 

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高容量の電池は開発してはならない

・・・そんな話。

 

私が電動工具やカムコーダー(ビデオカメラ)を設計していた

 1990年代、当時松下電器産業 電池事業部に出入りしていたとき

 

その事業部にいた設計室長が言っていた言葉です。

 

 

電池開発の世界では「電子技術」というよりも

 化学(薬品技術) 構造化学などが重要なファクター

  一般電子部品や半導体とは技術がは少し異なる人材がいます。

 

「消費者はいっぱい充電できる高容量ばかり要求するけど

 高容量になるほど安全性は脅かされる・・・だから世論がどこまで

  我慢と調和を理解してくれるか。 そこに立ち会うのが

自分たちエナジー産業エンジニアの立場にあるからね。」

 

そんなことを言っていました。

 

当時の技術ではニッケル水素電池でしたが

もうリチウムイオンの情報や研究はされていて

 あえて安全性を上げるために低容量にする研究が進んでいました。

(繰り返し2Cを超える充電や10C放電に備えて)など。

 

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※1 電池の危険要素である故障モードで一番怖いやつですね。

 「セル内ショート」・・・電池内部でショートするので

   周囲の回路や対策では手の打ちようがない故障モードです。

 

 

電池を「ショートさせたら良くない」ことは

 小さな子供でもわかることです。

 

電池には内層にもプラスとマイナスの二極がありますが

 内部のこの薄さや面積、内部材質で「能力」「容量特性」が決まりますね。

 

 

しかし高容量化でセパレーター(絶縁層)が極端に薄くなったり

 高容量化で発熱や活性度の高い電解物質を限界まで繰り返し充放電させた場合

  セパレーター内部に二次的な異物生成や損傷が発生して電池の中で

ショートが発生します。

 

そう・・・電池にも

 「悪性新生物=がん」や「損傷=けが」が出来ます。

 

これは乾電池でもニッケル系でも電池やコンデンサーでも

 電極がある限り発生することですが、高容量化でその「大きなエネルギー」は

  事故ったときに大きな結果をもたらすでしょう。

 

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私は高齢者になり 家電 電子機器設計業務から離れましたが

 小型で安くて高性能で便利なリチウムイオン電池・・・

  多くのユーザーが昔から求めていたものです。

 

電子機器に限らず

 いつでも どこでも 早く 時間を待たなくて住む・・・

  モノでも情報でも何でもスピーディなこの時代

 

「不便は解決されるべきが当たり前」であり

 時間を我慢しなくて良い時代へのシフトは

  ヒトの心から「どこかで大切なリミット」が

効かなくなった気がします。

 

今の人間は

 「待つこと」が出来なくなっています。

 

信号待ちに運転席でスマホ

 自転車乗っていてスマホ

  ラーメン屋で食事しながらスマホ

 

私はもうすぐこの世から撤収しますが

 多少は「時間を待つ自分」というものを

  失わないように考えています。

 

これ以上「利便性」が

 必要以上の安全性欠落を超えることが増えないように」

  そう願っています。

 

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あと余談ですが

 「安いから」で、アマゾンで売っている

   怪しい中国製のリチウムイオン 互換バッテリー

 

 

あちこちでドカンして火事になっているそうです。

(知人の工房でも・・・)

 

高くても安全性が高い正規品を買って安心・無事を得るか

 

少し安くて 大怪我や家を失うような火災を選ぶか

 どちらが得か考えましょう。

 

充電式電池・・・

 

 されど電池です。