らせん です
眠れなくて
電気を薄暗くしたリビングで
床に座って
ベランダから吹き込んでくる風に
あたりながら
つらつらと想いをあちこちに
飛ばしています
夜の帳の中
わたしの想いは
どこを飛んでいくのでしょう
それは
お気に入りの廃屋であったり
大きなヘチマが下がった
和蝋燭屋さんであったり
ついこの前行ったばかりなのに
好きな場所だから
想いだけでも
そこに行きたい
目を細めて眠くなるのを待ちながら
あそこもここも
頭の中に冴え冴えと
浮かんでくるのです
おもてなしの心に溢れた
心が休まる空間と
美味しいお薄と黒糖羊羹
もうすぐある
狐火祭り
来年は絶対に行こう
古い建屋にある階段は
使い込まれて
黒光りがする
一番下まで手すりがないのも
昔ならではの造り方
階段の下には
寒くなると活躍していた手炙りが
今の時代では活躍の機会も失って
ちんまり収まっています
四角く切られた囲炉裏も
出番はまだ先
いえ
もうあっという間に
そんな季節が訪れそう
そうなる前に
また行きたい
あぁ
そろそろ少しだけ
眠くなってきた
このまま目を閉じたら
行かれるかな
ギシギシと頼りない音を立てて
つるつるになった手すりを持って
あの階段を上ろう
おやすみなさい な気分です