らせん です
久しぶりに
うらんち(裏のおばあちゃんの家)に
向かって歩きました
おじいちゃんもおばあちゃんもとうになく
わたしのことを
散々からかっていた伯父が
住んでいます
駅から歩いて行きましょう
何十回何百回と歩いた道を
懐かしみながら行きましょう
友だちが通っていたピアノ教室
それから
くすんだピンクの横長の家
このふたつの建物が
ここにあることにホッとさせられます
下の家は日当たりが良くて
一段高くなったところに
学校帰りにみんなで寄り道して
足をぶらぶらさせながらおしゃべりしたっけ
ここの家の桜の木も元気です
ずっと前からこんなふうに
ブロック塀より前に張り出して
自己主張をしてるおじいさん桜
気まぐれなおじいさん桜は
その年によって
満開だったり
しょぼくれた量しか咲かさなかったり
見上げる人の顔も毎年ちがってたっけ
空き地は
わたしが通ってた塾の跡
勉強する気がないなら
来ないでください
って言われて
父にも母にも叱られた
わたしの反抗期
大好きな路地は健在
あちこち変わったところは
たくさんあるけど
立ち止ったわたしの脇を
少女のわたしがすり抜けて
ガタガタした飛び石を跳ねながら
駆け抜けて行く
雨が降るとぬかるんで
日影だからずっと乾かなくて
飛び石の上をぴょんぴょん飛ぶのは
必然でした
板塀の家はずっとこのまま
記憶の中にそのままの形で残ってる
それは
月日の流れに逆らわないようでいながら
とても強固に自らを誇示してる
周りにどう思われても
自分を通すことは
ひとつの憧れです
@横浜市
お父さんが窃盗犯で
刑務所に入っている間
おばあちゃんと一緒に兄弟が住んでいた
つぶれかけてた空き家は
空き地になっていました
歳もちがって
性別もちがってたから
遊んだことがなかったけれど
彼らのことは記憶の中に
他のいろんなことと一緒に覚えています
どうしているかな
あの頃遊んでたみんな
どうしているかな
だんだんとうらんちが近づいてきます
おじさんと会うのも久しぶり
庭のお稲荷さんにご挨拶して
仏壇にお線香をあげて
仏間から
おじいちゃんとおばあちゃんが育てた
山茶花を眺めましょうか
ほら
わたしが登っては叱られていた
柿の木が見える
今年もおじさんがもいだほんのり甘い柿を
食べさせてくれるかしら
ほんのり甘い懐古道中 な気分です