らせん です
大昔 ちょっとだけ読んだ小説と
大昔 惹きこまれた映画の舞台
ふたつは全然似てないけれど
共通するのは白い砂
砂に覆われた惑星 だということ
日向山の白い砂を
さくさくと踏みしめて歩きながら
ここが本当の日向山なのか
それとも
宇宙のどこかにある
似ていて異なる砂の惑星に
いつの間にか放り出されてしまったのか
白日夢のような幻想の中にいました
見上げると空は濃く青く
まるで海の色みたいに広がり
踏みしめる足元はずっと続く白い砂
立ち枯れた木は流木にも似て
デゥーンなのか
タトゥイーンなのか
遠い未来の自由の女神が埋まっている砂浜なのか
考えるとどれも本当のような気がして
頭がくらくらします
ここがどこなのかわからなくなる
そんな景色が目の前に広がっています
ごつごつとした奇岩の向こうに見えるのは
蜃気楼の八ヶ岳でしょうか
ホンモノなのか
ニセモノなのか
ここでは虚像と幻想と白日夢が
奇妙に混雑しているようです
突然吹き付けてきた冷たい風にたなびく
忘れられた衣みたいなサルオガセは
もしかしたら
この土地で生きていくために
一番適した姿に進化した生命体かもしれません
甲斐駒ヶ岳の真横に
青空を切り裂く X が
時空の裂け目から溢れてくるのは
いったいどんなモノでしょうか
日向山は不思議な世界
降りてくる途中の三角点にタッチしたら
魔法は全て溶けました
ここは日向山
天保13年に建てられた
可愛らしい野仏が山の階段に寄り添い
登り行く人や
帰り行く人を見送っています
冷たい凍りつくような風は
下るにつれてなくなって
暖かい陽射しが注ぎはじめました
急な階段とのんびりした階段
夢を見せてくれる山で
不思議な時間を過ごした
そんな思いを振り返るのもまた一興
夢うつつ な気分です