らせん です
途中の岩に右足が挟まり
にゅうの岩山で靄を吐く龍のおかげで
濃いミルク色の世界に
置いてきぼりにされそうになって
あわてて苔の森の出口まで戻りました
ここから中山峠を越えて行きます
どのくらいの時間で行けるかな
少し登り道があるみたい
すてきな階段があるといいな
なんて
お気楽のんきなことを考えていた
山の階段探険隊でした
このあと
予想外の苦しみに出逢うとは
それこそ予想外なのでした
にゅうから中山分岐
中山分岐から中山峠までの道は
ごろごろとした岩だらけ
山の階段探険隊なんて言っても
登る山はかわいい低山ばかり
なかなか目指す中山分岐にも着きません
足を進めたくても
意地悪とも思える岩だらけの登山道は
いつまでたっても若葉マークのわたしの足は
思うように動かせない
写真すら撮る余裕がなくなりました
そんな中で癒してくれたのは
ほんの少しだけ平坦に思えた場所にあった
山の自然階段
この姿にどれだけホッとしたことでしょう
地図に書いてある時間は
あくまでも目安
いつになったら目標地点が現れるのか
なぞなぞ心理戦へと突入するのでした
ようやく中山分岐のあたり
道標もあまりなくて
いったい今どこを歩いているのか
わからなくなりました
これが里山なら
タヌキに化かされてるのかな
なんて思えるけど
知らない山では疲労と不安が
頭の中がぐるぐると回ります
この先
四苦八苦しながら中山峠まで辿り着きました
体も心も疲労困憊で
せっかく辿りついた中山峠の道標も
撮り忘れる始末
中山峠に向かう途中 姿を見せてくれた東天狗と西天狗
麦草峠から登ろうとして
あっという間に大雨で敗退したことがあったっけ
ここから見たら
頑張れば行かれそう
天狗の奥庭を見渡せる
黒百合ヒュッテに寄りました
ここでお昼の大休憩
疲れた足と体をやっと休ませられる
と 思ったのもつかの間
ガラガラガラ。。。。
大きな音が鳴り響き
小屋の人は外に出てきて
ようやくヒュッテについてリュックを下ろした人も
みんなが空を見上げました
雨が来ますね
カミナリ雲が逸れてくれたらいいけど
荷物を肩に慌ただしく立ち上がる人
奥庭から天狗岳に登り始めた人のピッチが上がるのが見えます
わたしも行かなくては
カミナリがいつどこから来るかわからないまま
先へ先へと進みます
相変わらずの岩だらけの道
疲れた足を機械人形みたいに
カクカクと動かし
中山 標高2492メートル 登頂です
あぁ やっとここまで来た
ハプニング
途中の岩に右足が挟まり
抜けなくなってしまいました
靴はびくとも動きません
仕方ないから靴ひもをほどいて靴を脱いで
靴を引っ張り出しました
ミルクのようなガスに追い付かれて
ポツポツと雨粒が落ちてくるアクシデントも
もう泣きそうです
ふらふらなりながら
ようやく見晴らし小屋
ここで30分くらい休憩したい。。。
またしても
ホッとしたのはつかの間
いきなりひんやりした風が吹き
雲がどんどん降りてきました
空はさっきよりどんよりと曇って
頭の上に落ちてきそうです
雨に追いつかれる前に出発しなきゃ
5分もしないで立ち上がるつらさ
追い立てられるようにどんどん下ります
体のまわりを白いガスが渦巻き
苦しい呼吸をしながら
それでも空を見上げると
木々の間から今にも降り出しそうな鉛色
歩きにくい岩道を
何かに追いかけられるように下るわたしは
半泣きでした
行きに見た階段
帰りはここを下りてくるのね
わくわくした気持ちで見ていたのがうそのよう
追い立てられるように小走りに降りました
やっと帰ってきたスタート地点
その途端堰を切ったように
大粒の雨が降り始めました
ゆっくり休む事も出来ず
なにかに追いかけられているかのような下り道
途中で何もかも投げ出して
歩くことさえやめたくなった帰り道
つらいつらい下り道
全身の力を使って
雨とカミナリとの追いかけっこ
雨宿りをしながら靴の泥を落として
帰って来れてよかった
と改めて思いました
帰って来れてよかった
と改めて思いました
山はいつでもビックリするような驚きをくれます
ヤマハハコの花が見届け人です
極限状態を味わった 気分です