らせん です
苔と緑が美しい神秘の森を抜け
ちょうど2ヶ月前の真夏の8月
苔と緑が美しい神秘の森を抜け
白い靄を吐き出す龍が棲むような岩の山
にゅうへ行ってきました
暴風雨が去って青い空がきれい
秋の空を眺めながら
夏の探険を思い出しています
まだ夜が明けきらないうちに歩き出すと
にゅうの森の中で朝がきました
木立の間からキラキラとした光が
あっちにもこっちにも染み渡っていきます
清浄な空気の中のみずみずしさ
こんなにきれいな朝を迎える嬉しさ
森のすべてが目を醒ます瞬間です
湖面が黄金色に輝いて
白駒池にも朝がきました
両手を広げた水の精が
音もなく雫を静かに滴らせながら
せりあがってきても
この場面では誰も不思議に思う人はいないでしょう
つい見惚れてしまうけど
先に進まなければ
苔の森の醍醐味を味わうのが
今回の探険の目的なのだから
昔 本のタイトルで
百の緑
という言葉を知りました
緑には百通りの色がある
木道が続く森の中
ここから見ているだけで
百以上緑色がありそうです
なんてきれい なんてすてき
森の小人になった気持ちで歩いてみましょうか
ここに棲んでいるのは
スクナヒコナの末裔かもしれません
だって
こんなに素晴らしい森なのだから
忘れられた種族が生きるには最適な環境だもの
あるある
妖精王の玉座
ホビットの食物倉庫
そして
靄を吐く龍の棲む岩山への門
すべてがファンタジーの世界につながっています
夢想とか
妄想とか
笑ってはダメ
信じれば見えてくる
そう言ったのは誰でしたっけ
すっかり朝になりました
緑を味わうように歩くから
わたしの歩みはゆっくりです
見惚れてばかりで先に進まないのは
どこの山でも同じです
あそこが目指すにゅうの山頂
思った通りのゴツゴツした岩山
どこに龍が潜んでいてもおかしくありません
あの てっぺんの
横になった岩の向こうに
普段は小さなトカゲくらいの大きさになっているけど
靄を吐く龍がいるのです
にゅう 標高2352メートル
三角点にタッチ
はじめまして
はるばる苔の森を抜けて
この山にやってきました
一番高い岩まで登ってジャンプして
最高の気分なわたし
遠くに一瞬白駒池が見えました
ところが
何処かに隠れていた小さな龍が靄を吐いて
辺りは一面真っ白に
ちらっと見えただけで天狗岳も隠れてしまいました
岩に立つ足元までも
ミルクのような濃厚な靄がヒタヒタと
押し寄せてきます
現実から非現実の世界へ場面転換
これこそが探険の素晴らしさです
ふわっ とした気分です