らせん です
あまりにも天気が良いので
行き先も目的も急遽変更です
こんなときは自分の気持ちに正直になるのが一番
見えない兜と甲冑に身を固め
いざ 出陣
先陣をきるぞ 者どもよいか
遅れをとるなよ
ついてまいれ
@鎌倉市扇ヶ谷
見上げると大岩が頭の上に落ちてきそうです
はるか昔からここにあり
この場所だけ残され
木は茂り根を張って
岩をがっちりと支え続けています
坂東武者の乗る馬はいななき足を蹴たてます
口綱をとる足軽の着ている粗末な鎧は
手柄をたてることを祈りながら
女房が手ずから繕って不動明王のお守りを縫い込んだもの
@鎌倉市扇ヶ谷
いよいよ化粧坂に突入します
馬や兵の足をとるような湧き水で濡れた岩の道
足場が悪いぞ
心してまいれ
手に手に刀を握り
戦幟を背中にくくりつけ
手柄をたてようと逸る心を抑えながら
一歩 一歩
@鎌倉市扇ヶ谷
道の真ん中にある大岩は
化粧坂を突破して幕府に攻め入ろうとする
謀叛を企てた者を阻む砦の証し
おのれ 北条め
幕府の実権を握り いいように操りおって
新田義貞の苦渋の呟きは
逝っても尚幕府に覆い被さる
女帝北条政子の高笑いに消される
義貞ごときに
吾が頼朝殿と築きあげた幕府が崩せるものか
化粧坂を越えてみよ
そなたごときにこの砦が破れるものか
@鎌倉市扇ヶ谷
化粧坂は天然の要塞
馬の足を鈍らせる自然の段が続き
決して広くはない坂の幅は
多勢の兵が一気に駆け上がることも出来ない
奇襲をかけるのは上から
待ち受けるのは
幕府の最高権力者北条高時の元 武将金沢貞将率いる軍勢
矢を射かけ
岩を落とし
新田義貞の軍勢を翻弄する
遠く耳をすませば合戦の声が聞こえてきそうです
新田の軍勢を踏みとどまらせた
幕府側は化粧坂では
確かに言ったのでしょう
恐るるに足らぬわ
それは鎌倉幕府を設立した源頼朝の声でもあり
頼朝に寄り添い常に高みを目指していた
北条政子の声でもある
その声を聞きながら
時を越えて化粧坂を上りましょう
幕府の滅亡を決める 由比ヶ浜の合戦まで
もう少しだけ時間があります
しばし 遠く去った鎌倉の夢を見ながら
化粧坂を上りましょう
時の旅人 な気分です