しゅーちゃん、1年生。
ぐりさんの教室に通ってくださるようになって、もうすぐ1年です。
年長さんだった しゅーちゃんは、とても恥ずかしがり屋で、あがり症で、とても怒りんぼ。
スグ立ち上がったり、部屋の隅っこにうずくまったり、
腕を組んでそっぽを向いて「ボクやりたくないんだ」と、
不安と癇癪強めなお子さんでした。


「だってボク、どうせできないんだもん」

たった6歳にして、こんなにも強い劣等感を抱き、
心を閉ざしているのかと思うと胸が痛んでなりません。

「せんせいは、ボクの気持ちわかる?」

しゃくりあげて泣きだす しゅーちゃんです。

もう、声をかけられることすら抵抗を感じていて
何もしたくない、みたくない、聞きたくない
と全力で拒絶してきます。
 

●失敗するからやらない
●失敗したくないからやらない


頑な姿勢をとってしまい、場の流れを止めたり、むやみに叱られてしまったりと、
悪循環に陥って、状態は更にひどくなる一方です。

療育センターに通ってからレッスンにいらっしゃる生徒さんほど、
想像する以上のダメージを受けていることは多いですね。


とにかくすぐに怒る、からの黙り込む、そして泣く。
しゅーちゃんは、すでに、このパターンが深く刻まれていました。

困り行動の修正もですが、
そのかたく閉ざされた心をほぐすことに、とても時間を要しました。


教室に来るまでもグズグズ言って お母さんを困らせ、
時には、しゅーちゃんを抱えるようにして連れてこられることもありました。
お母さんには、いつも本当に頭が下がります。

 

園を休みがちだった、しゅーちゃん。
家で何をしているか尋ねると、「iPadでゲームしてます」と、おっしゃるお母さんに
「言わないで!言わないでよー!ズル休みだと思われたくないんだよー!」
と泣きだした ことがありました。


園や学校は、なんとなくこなしてくれたらいいかなと思っています。
『これだけは続けられた』『これは好き』というものがひとつでもあると、
不思議と「ま、いっか」と思えたりもします。

今はゲームが、しゅーちゃんの『心のよりどころ』なのかもしれません。


1年生になった先日、しゅーちゃんが、
手のひらをマジックでガシガシと真っ黒にしてきたことがありました。
新品の筆箱も同じく真っ黒です。

1学期の運動会が終わると、
どの学校も授業が少しペースアップする時期。

ちょっと大変になってきたのかなぁ。


授業中、どうしているのか聞いてみると、
「やってみようとは思うんだけど、、」
ポツポツ話してくれるしゅーちゃんですが、
『ただそこにじっとしているだけ』の時間を毎日毎日過ごしているのかと思うと、
どんなにか辛く、苦しく、疲れるだろうと、
しゅーちゃんの気持ちが痛いほど伝わってきます。


レッスンでは、どんなに泣いたり怒ったりしても、
「ボク、もっとピアノ弾きたかったなー」と、
いつも名残り惜しそうに帰る しゅーちゃんです。

一緒にひらがなの練習をしながら、
「ボクね、学校では丸がいっぱいのプリントもあるんだよ」
と、ヒソヒソ耳打ちしてきました(笑)

うんうん、そうだよね!!上手にできるの知ってるよ♪

『わからない、うまくできないことへの抵抗のイメージ』が強すぎて
上手にできることの意識が薄れてしまうのだろうと思います。

わかっていること、よくできることがたくさんあることを
ぐりさんは よく知っています。
しゅーちゃんが、その部分に意識を向けられるよう促していきたいと考えています。

 


ですが、しゅーちゃんが初めて『できること』をぐりさんに教えてくれて、
とても嬉しかったことを覚えています。
その調子です!!

 

 

しゅーちゃんのお母さんは、長年のストレスから眠れなくなったり、
考え事が止まらなくなったりと、体調を崩してしまわれています。

困難を抱えるお子さんの親御さんの
精神的、肉体的なご苦労は想像をはるかに超えるものです。

お母さんご自身がお辛い中で、
お問い合わせくださり、通ってきてくださることに感謝とともに
お母さんの しゅーちゃんへの想いに
本当に頭が下がる思いです。

親の愛って尊いですね。

しゅーちゃんが伸びていくことを望まれていらっしゃいますが、
教室へ通うこと、ぐりさんと話すことは、
いまのお母さんにとって, とてもエネルギーを必要とする作業ですし、
プレッシャーにもなって消耗なさってしまわれるのではというのも
ぐりさんが心配していることのひとつです。

しゅーちゃんが、少しずつ自分をコントロールできるようになれば、
お母さんのお気持ちも安らいでいかれるのではと思っていますが、
当面の お母さんのご負担も気にかかるところです。

 

「自閉症の本を読んでいて、この人たちの身体症状って、

わかる!と思ったんですよ。
私もずっと虚弱で、子どもの頃、ここに書いてることとおんなじでした」

と、先日、しゅーちゃんのお母さんが、こんなことをおっしゃってくださいました。

お母さんご自身のこれまでの辛く大変だった思いをご理解していただくことで、
今まで気付かなかったことが見えてくることもたくさんあるのではないでしょうか。

発達障害のことを『子どものこと』としてだけでなく、
ご自分のことに置き換えてみるという目線を持ってくださることを本当にありがたく思いました。


お母さんが子育ての喜びを味わい、
ひとつでも多くのご家族で楽しい想い出を作っていただくことが
ぐりさんの願いです。

しゅーちゃん、お母さん。
いつもを応援していますよ。
ありがとう。

 

  福岡ぐりむ療育とピアノと学習の教室です。別ブログやXの過去記事にコメントを加筆して書いていっています。

 

2014年の記事です。

 

長文を読んでくださりありがとうございます。

 

すんごい癇癪を爆発させるお子さんでした。

療育センターに通われている間に、さらにどんどん深く刻まれた印象でした。

 

毎度のことながら、どうしてそんなになるまで…と、謎。

 

レッスンでの癇癪の消去は、本当にエネルギーが必要です。

本気だからさぁー

 

年齢が上がるにつれてお子さんの声のボリューム、力の強さ、走る足の速さがグレードアップしますし、

いろんな駆け引き、自傷他害、破壊行動などエスカレートしたりと、

ほんとえらいこっちゃですもやもや

 

癇癪爆発の頻回は、お子さん本人もしんどいでしょうが、

お母さんの方はたまったもんじゃないですね。

体調を崩されるのは時間の問題だと思われます。

 

そんな状態でも、遠方よりレッスンに通ってくださる

親御さん方には本当に頭が下がる思いですし、

お母さんの健康と笑顔のためにも、と思っています。

 

 

この頃あたりから『発達障害』がちらほらいわれるようになって、

お子さんのことを調べるうちに親御さんの方からも

「わたしも同じ」とか「主人も同じ」とかいう言葉を

お聞きすることがでてきました。

 

ぐりさんが、一般的なピアノ教室から発達障害、自閉スペクトラムに特化する前に相談した友人のベテラン臨床心理士に「特性は子どもだけの問題じゃないから難しいよ」と、キッパリ言われてしまった言葉がよぎることはたくさんあります。

 

お気づきになるって、ありがたいし、とても素晴らしいことですが、

タイプによっては苦しまれることもあるな、とも感じています。

 

選択肢がたくさん増えた時代でもスタートラインにさえ立つことが難しいなかで、諦めているご家族が少しでも減り、笑顔が増えるようになることを願っています。